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研究テーマ
土木・社会基盤
学科の分類
情報科学部データサイエンス学科

テキストアナリティクスによるカスケード災害の分析・評価

情報科学部

データサイエンス学科

計算社会科学研究室

坂平文博 准教授

「カスケード災害」とは、ある事象が次々と他に影響を及ぼしていく連鎖現象を有する災害のことです。本研究ではカスケード災害を分析・評価するために、自然言語処理と機械学習を用いて新聞記事から災害事象の因果知識を抽出し、災害因果ネットワークを作成します。これをもとに被害を拡大・長期化させる脆弱性ポイントを見つけ出します。(東京大学廣井悠教授との共同研究)

「カスケード災害」とは?

ある原因によって生じた結果としての災害事象が別の災害現象の原因になることを繰り返すことでより困難な状況をもたらすものです(右図(b))。2011年東日本大震災における津波による原子力発電所事故から生じた電力不足がもたらした社会経済活動への影響はその典型例です。

目的と方法

カスケード災害を評価・分析するために、従来からフローチャートやネットワークなどでグラフ化する方法が用いられていますが、その作成方法は人間の作業によるもので網羅的・客観的とは言えません。

そこで、網羅性と客観性を向上させるために、本研究では自然言語処理と機械学習を用いて過去の新聞記事から災害に関する因果知識を抽出し、各因果知識を組み合わせて災害因果ネットワークを作成します。

例:1995年阪神淡路大震災の分析結果

「被災地の工場生産の停止」の原因について、「ビルの倒壊」に加えて「停電」や「物流の混乱」が抽出されました。これらが組み合わさった結果、「被災地の工場生産の停止」が広範囲・長期間になったと考えられます。

論文

「Creating a Disaster Chain Diagram from Japanese Newspaper Articles Using Mechanical Methods 」(2021) SakahiraFumihiro『Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics』25(3) p.277 - 284.

「Designing cascading disaster networks by means of natural language processing」(2021) SakahiraFumihiro『International Journal of Disaster Risk Reduction』p.102623.

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