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研究テーマ
自然科学
学科の分類
情報科学部情報システム学科

組合せ構造の機械学習への応用

情報科学部

情報システム学科

離散数理研究室

地嵜頌子 講師

組合せデザイン

2017年より, 組合せ構造の深層学習への応用を研究している. 本シーズでは, 二部グラフをブロックとしてもつ組合せ構造spanning bipartite block designの構成法について紹介する.

概要

深層学習において,汎化性能が下がる現象を引き起こす過学習を避けるための代表的な手法としてドロップアウト法やドロップコネクト法がある. これらはランダムにノード (もしくは辺) を選び,モデル学習の際に無効化することで汎化性能を高める手法である.

 これまでに, ドロップアウト法に適用させるため,統計的実験計画法の 2 因子実験の最適計画 (balanced split block design) を拡張し, dropout design と呼ばれる組合せ構造の提案を行ってきた [1,2]. これらの先行研究を踏まえ, ドロップコネクト法に対しても, 実験計画法や組合せ理論で得た理論や技法を導入し, 新しい組合せ構造(spanning bipartite block design, SBBD)の提案と構成法を与え,その最適性に関して議論した [4, 5].

Spanning Bipartite Block Design (SBBD)

ドロップアウト法では,各層のノードの一部を無効化し,残ったノード間で完全 2 部グラフを構成する形でスパース化を図ってきた. 一方,ドロップコネクト法[3]はノードではなく,2 層間のコネクション (辺) を直接ランダムに無効化する手法,つまり,2 層ごとに独立してランダムに辺を選び,その辺もしくは選ばれなかった辺を不活性化することにより多層ニューラルネットのスパース化を図る.

 一般的に実験計画法において,品種の効果の推定量の分散は任意の2つの効果の会合数が一定であるとき,等分散になりかつ最小になる.統計モデルでは推定すべき品種の効果は単純な集合として表現する.しかし深層学習では 2 部グラフの辺に推定すべき重みが対応しているため,辺集合を品種の集合と考え,その会合数をバランスさせることを考える.

完全二部グラフ\(K_{v_{1},v_{2}}\)の2つの頂点集合を\(V_1,V_2\)とし,以下の5つの条件を満たす部分グラフの集合\(\mathbf{B}=\{B_1,B_2,\ldots, B_N \}\)を考える.

[SBBDの条件]

(1) \(\mathbf{B}\)のどの部分グラフ\(B_i\)も\(V_1,V_2\)の点をすべて含む(全域条件).
(2) \(\mathbf{B}\)の中に\(K_{v_1,v_2}\)のすべての辺はちょうど\(\mu\)回ずつ現れる.
(3) 任意の2つの辺 \(e_{ij}, e_{ij’}\), \(i \in V_1\), \(j, j’ \in V_2, (j \ne j’)\) が同時に含まれる部分グラフは\(\mathbf{B}\)内に必ず\(\lambda_{12}\)個存在する.
(4) 任意の2つの辺 \(e_{ij}, e_{i’j},\ i, i’ \in V_1, (i \ne i’), \ j \in V_2\) 同時に含まれる部分グラフは\(\mathbf{B}\)内に必ず\(\lambda_{21}\)個存在する.
(5) 任意の2つの辺 \(e_{ij}, \ e_{i’j’}, \ i, i’ \in V_1, (i \ne i’),\  \, j, j’\in V_2, (j \ne j’)\)が同時に含まれる部分グラフは\(\mathbf{B}\)内に必ず\(\lambda_{22}\)個存在する.
これらの条件を満たす\(K_{v_1,v_2}\)の部分グラフの集合\(\mathbf{B}=\{B_1,B_2,\ldots, B_N \}\)をとし,\((K_{v_1,v_2} , \mathbf{B} )\)をSpanning Bipartite Block Design (SBBD)と呼ぶ.

二部グラフの中の任意の2辺の選び方は,その共有点の状況により3通り考えられ,それら3つに関する条件が(3,4,5)である.

 

例. \(K_{3,3}\) の部分グラフとして以下の図のような9つを考える. \(\mathbf{B}=\{B_1,B_2,\ldots, B_9 \}\) は\(\mu = 6, \lambda_{12} = 3, \lambda_{21} = 4, \lambda_{22} = 4\) のSBBDをなす.

さらに,\(\lambda_{21} = \lambda_{22}\) を満たすSBBDをGDD type といい,[5]では,\((r,\lambda)\)-designやdifference matrixといった既存の組合せ構造からGDD type SBBDを構成する方法や,GDDの持つE-最適性について紹介している.

参考文献

[1] S. Chisaki, R. Fuji-Hara & N. Miyamoto: Combinatorial Designs for Deep Learning, Journal of Combinatorial Designs, 28(9),633 – 657, 2020. httpss://doi.org/10.1002/jcd.21720

[2] S. Chisaki, R. Fuji-Hara & N. Miyamoto:  N. A construction for circulant type dropout designs. Designs, Codes and Cryptography, 89, 1839–1852 (2021). httpss://doi.org/10.1007/s10623-021-00890-8

[3] L. Wan, M. Zeiler, S. Zhang, Y. Le Cun, and R. Fergus. Regularization of neural networks us- 26 ing dropconnect. In International conference on machine learning, 1058–1066, 2013.

[4] S. Chisaki, R. Fuji-Hara, and N. Miyamoto. Optimality and constructions of spanning bipartite block designs, Metrika, 88(2), 247-265, 2025. httpss://doi.org/10.1007/s00184-024-00963-3

[5] S. Chisaki, R. Fuji-Hara, and N. Miyamoto. GDD type spanning bipartite block designs. Journal of Combinatorial Designs, 33(6), 207-216, 2025. https://doi.org/10.1002/jcd.21976

研究者INFO: 情報科学部 情報システム学科 離散数理研究室 地嵜頌子 講師

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