AIを活用した藻類バイオ燃料の実現に向けた基盤技術:マイクロアルガインフォマティクスの開発

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RESEARCHER研究者リスト

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研究代表者

工学部 環境工学科

河村 耕史 准教授

研究分担者

工学部 環境工学科

高山 成 准教授

研究分担者

工学部 環境工学科

皆川 健多郎 教授

研究代表者

工学部 生命工学科

長森 英二 准教授

OVERVIEW研究課題の概要

光合成微生物である微細藻類を使ったバイオ燃料生産の実現に向けて、農学・化学工学・生命工学の技術で収集したビッグデータを、情報工学のAI技術を活用して分析・統合する「マイクロアルガ(Microalga = 微細藻類)インフォマティクス」の開発を行う。具体的な研究課題は2つあり、1. 広域的なフィールド科学の視点から、「バイオ燃料生産に適した微細藻類はどのような環境に生息しているのか?」、2. ラボ実験系の視点から、「微細藻類の長期連続培養条件下で燃料生産性のゆらぎをもたらす要因は何か?」である。

REASON課題実施の根拠

学会・業界における位置づけ

微細藻類バイオ燃料の構想は、石油ショックがあった70年代にまでさかのぼる。その後、2000年代に入って地球温暖化が顕在化すると再び注目を集め、2010年にはScience誌(Wijffels et al. 329巻796)に、2012年にはNature誌(Georgianna & Mayfield 488巻329)に藻類バイオ燃料の特集が掲載され、藻類バイオ燃料のベンチャー企業が乱立するなど一時期盛り上がりを見せた。しかし、ここ5-10年はその熱も冷め、やはり実用化は難しいのではないかという閉塞感が広がりつつある。

環境分析

藻類バイオ燃料の実用化を妨げる最大の障壁は、コストである。石油の代替資源として期待されているが、石油は現状、1Lあたり100円代で入手できる非常に安価なエネルギーであり、これをコスト面で上回るのは容易ではない。たとえば、重油相当のオイルを蓄積する微細藻類を使った研究では、1L程度のオイルを作るのに1000円近いコスト(培養から精製に至る)がかかると見積もられている。これに対し、培養技術の開発や遺伝子組換え技術による育種などのアプローチで藻類の生産性を向上させてコスト削減をはかる研究がされてきたが、先に述べたとおり、目標達成は容易ではないという認識が広がりつつある。

社会的意義

藻類バイオ燃料は、その他の再生可能な自然エネルギー(太陽光・水力など)には無い利点がある:光合成によってCO2と水を原料に作られるためカーボンニュートラルであるため、化石燃料のように大気中のCO2濃度を上昇させ地球温暖化を引き起こす可能性が低い。また、電気ではなく、エネルギー密度の高い液体燃料を作ることができる。現在の技術では電気でジェット機を飛ばすことは難しいため、再生可能な液体燃料を作る手段として藻類バイオ燃料が期待されており、国内では全日空(ANA)が藻類バイオ燃料の研究に出資している。

将来性・独自性

本研究は、藻類バイオ燃料の研究分野において、これまで使われてこなかったAI技術によるビッグデータ解析という新たな手法を持ち込むことで、ブレークスルーを起こすことを目指す。すでにフィールド科学の分野では、AI技術をGISや人工衛星画像による空間情報処理に活用する動き、気象データからAI技術を使って農作物栽培の最適化を行う研究が進展しており、生命科学の分野でも、創薬などにAIの活用が進みつつある。

ベースとなる既存のプロジェクト・共同研究

研究代表者の河村は、2011年に当大学に着任後、藻類バイオ燃料に着手し、2014-2016年度には科研費挑戦的萌芽「オイル産生藻類の交配育種に向けた有性生殖機構の解明」、2016年度には若狭湾エネルギー研究センター公募型共同研究「石油を作る微細藻類Botryococcus brauniiの重イオンビーム照射による変異株ライブラリーの作出」に採択され、微細藻類の育種法に関する農学的な研究を進めてきた。当年度からは、研究課題「石油を作る微細藻類ボトリオコッカスの遺伝資源の潜在性評価と突然変異育種技術の開発」(研究代表者:河村)を実施している。2018年にはBiomass & Bioenergy誌に微細藻類の培養技術の最適化に関する論文(Kawamura et al. 117巻24)を、2019年にはScientific Reports誌に自然環境で生息するオイル産生藻類を検出する分子技術に関する論文(Hirano et al. 9巻16974)を発表している(2編ともに責任著者は河村)。本研究はこれらの研究成果をベースに、学内の共同研究者の協力を得て、新たにAI技術や空間情報の活用を組みこんだプロジェクトを発案するものである。

EFFECT期待効果

期待される研究成果

AI技術によって、これまで分析やパターン抽出が困難であったビックデータから有用な情報や繰り返し現れるパターンを発見することができるかもしれない。また、人工気象機のなかでも微細藻類の増殖や油の生産は完全に制御できているわけではない。AI技術を活用した培養条件の最適化は、まだ気づいていない隠れた要因を発見する可能性を秘めている。これらの研究成果は、微細藻類による屋外でのバイオ燃料生産の実現につながるものである。

期待される知財の成果

本研究の成果によって、たとえば、地理空間情報をもちいたAI技術によるオイル産生藻類の生息地予測法、AI活用による藻類バイオ燃料培養技術の最適化手法、などの特許を申請することが考えられる。また、産学連携への発展として、これまで藻類バイオ燃料についての技術相談などを受けている会社と、技術提携するなどして共同開発に進むことも考えられる。

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