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大学発ベンチャー特集
大阪工業大学 大学発ベンチャー企業設立支援制度
制度の設立趣旨
日本の成長戦略においてベンチャー創造に対する期待が高まっています。その中で特に期待されているのが、大学発ベンチャーです。大学の研究活動により、生み出される技術シーズや保有特許が、技術移転され、ベンチャー起業と事業の発展を通じて、既存産業の基盤技術を転換させ、産業構造のリノベーションが起こる事が期待されています。大学は大学発ベンチャーを支援し、起業を促す事による社会貢献を要望されており、大学発ベンチャーを支援する大学は、社会や国からも高く評価されるようになってきています。そこで大阪工業大学は、研究支援・社会連携センターを主管部門とし、大阪工業大学 大学発ベンチャー企業設立支援制度を設立いたしました。大学発ベンチャー起業創出をサポートする事により、下記目的を実現します。
- 研究力の強化
- 研究ブランディングの向上
- 大学発ベンチャーへのライセンス供与によるライセンス収入の増大
- 社会貢献の強化
大阪工業大学 大学発ベンチャー企業設立支援制度
株式会社エコソリューションネット
株式会社レーザーラボ
株式会社 Bettervibes Eng.
レイタント合同会社
採択プロジェクト SCORE 大学推進型
ペプチドを基軸とする神経障害性疼痛治療薬の開発
プロジェクトの概要
- 解決したい課題・提供する価値: 神経障害性疼痛を軽減、QOL(生活の質)の向上
- 背景:神経障害性疼痛は難治性疼痛(NSAIDsやオピオイド鎮痛薬が効かない)、既存薬の副作用(傾眠など)
- 技術の独創性・新規性:神経ペプチド・ノシスタチンが神経障害性疼痛を抑制すること発見、ノシスタチンを基軸とした副作用が少なく経口投与可能な治療薬と機能性食品の創出
ビジネスモデル(終了時)
医薬品や機能性食品販売などの事業育成を進め、 ベンチャーキャピタルからの資金を得て自ら創薬を行うベンチャー企業の創出または製薬や食品企業へのライセンスアウトを目指す。医薬品や機能性食品の疼痛関連機能性ペプチドの開発、病態モデルを用いた疼痛評価試験などの受託解析を行う。
活動計画(申請時)
- ノシスタチン由来ペプチドの神経障害性疼痛への作用機序・体内動態の検証
- ノシスタチン由来ペプチド含有食品の探索機能性食品の疼痛管理の可能性を検証
活動結果と成果(終了後)
- ノシスタチン由来ペプチドやその誘導体は、髄腔内、経口、静脈内投与により、糖尿病モデルマウスの神経障害性疼痛を抑制した。また、既存薬ガバペンチンで見られた活動度低下は生じなかった。
- ノシスタチン由来ペプチドの疼痛抑制経路を明らかにした。
- ノシスタチン由来ペプチドをもつ食物をデータベースから探索した。
今後の事業化に向けた活動予定
- START(2023年度以降)などの競争的資金に申請し、シスタチン由来ペプチドの創薬に向けたペプチド構造の最適化、安全性などの試験、ノシスタチン由来ペプチド含有食品の機能性食品としてのマウスやヒト対象研究による有効性など、事業化の検証を行
- 共同研究により安全性試験などの前臨床試験や臨床試験を行うことができる製薬や食品企業を開拓する。

分散センサに基づく危機管理AIシステムの実現、及び事業化
技術シーズの概要
- 概要:大規模なイベント会場や商業施設等にセンサを分散配置し、人流をリアルタイムに取得することで、混雑状況を把握および予測
- 背景:災害時の避難誘導や三密回避の社会的ニーズの高まり
- 独創性・新規性:Wi-Fiに未接続でもスマホを持っている人を検知可能
ビジネスモデル(終了時)
- 2021年度:枚方宿くらわんか五六市にて、原理検証や、広域環境での実証実験を行う。
- 2022年度:納品システムでも人流データを収集・解析することで、新ソリューションを創出
- 2023年度:ベンチャー起業 2033年 IPOを目標とする
活動計画(申請時)
1.技術開発
- 現時点のWi-Fi端末検知による人数把握精度は人手によるカウント数との相関値は0.66、活動終了時には0.9以上目指す
- 人数分布を表示できるプロトタイプの製作を目標とする
- 人数分布に基づく人流予測シミュレーション方式および分散協調型の避難誘導方式の確立も目標とする
2.ビジネスモデル
- 五六市での人流情報を五六市理事会等に提示。運営者・来場者が欲している情報およびアプリケーションをヒアリング
- 人数分布を表示できるプロトタイプの製作を目標とする
- 分散協調型の避難誘導方式、店舗の最適配置方式などのアイデアを提示し、ユーザーニーズを抽出

光照射によるカーボンカプセル材料創出法の開発
カーボンカプセル材料は、優れた電気特性を有し、比表面積が大きく表面機能の増幅が可能であるため、先端工業分野において機能性材料として注目を集めている。本研究は、光の照射というシンプルな操作によるカーボンカプセル材料創製法の確立を目的とする。具体的には、熱分解性高分子粒子の表面にカーボン材料前駆体である共役系高分子を被覆したコアシェル粒子を合成し、これに光を照射することで共役系高分子の発熱・炭化、およびコア部の熱分解除去を同時に引き起こし、カーボンカプセルの合成を行う。さらに起業化を視野に入れ、種々の化学組成、サイズ、壁厚みを有するカプセルのライブラリーを作製する。
本研究における技術開発を通じて創業する大学発ベンチャーとして下記3種の形態を想定している。
- 当該技術開発によって生じたプロセス特許のライセンスベンチャー
- 当該技術開発によって開発されたプロセスを具現する製造ライン販売ベンチャー
- 当該技術開発によるプロセスを利用し合成する材料販売ベンチャー

農業生産現場における経営改善のためのIoTデバイス、シミュレータの開発
農業の担い手不足や耕作放棄地の増加が問題となっている農業生産現場で必要となる技術の開発と実装を行い、それらを用いた効率的な農業経営の改善についての研究を実施する。本研究は、①安価なIoT(InternetofThings)デバイスの開発、②蓄積されたデータを解析するシミュレータの開発、ならびに③最適な作業計画を提案することにより、日本各地の農業の労働生産性と土地生産性を向上させることを最終的な目標とする。本研究では、500枚以上の圃場を有する大規模農業生産法人の協力のもと実地検証を行う。「GAPファンド」による研究実施期間終了後は、本提案の研究成果をもとに大学発ベンチャーとして法人設立することを予定し、本研究シーズが多くの農業生産法人へ広く用いられるように技術移転を目指す。

「機能性表示食品」取得を目指した臨床試験研究と成果物・検証プロセスの社会実装・事業化
本研究では、天然白ハチミツの定期摂取効果を検証する大規模臨床試験と更なる食品成分の検証を進め、科学的根拠を蓄積した上で、消費者庁への「機能性表示食品」の申請・認可、食品販売への関与を目指す。また、より科学的根拠が蓄積された後には、「特定保健用食品」への申請・認可を目指す。また、こうした基礎から臨床までの一連の研究による科学的根拠の創出とこの認可申請プロセスは、企業が「機能性表示食品」の認可申請および認可取得を目指す過程において、極めてニーズが高く、申請者らの研究成果の直接的な活用が想定される。「機能性表示食品」は、生鮮食品を含め、ほぼ全ての食品(ただし、一部の食品のみ例外がある)が対象となることから、今後は、特定の大企業のみならず、食品系・医薬品系・化粧品系の中小企業や個人からの機能性表示の申請希望がより増加する可能性が高い。そのため、「機能性表示食品」や「特定保健用食品」取得のための臨床研究や関与成分の定性・定量、および作用機序の考察を全面的に委託・代行・指導・サポートすることで、本学の研究環境とそこでの研究成果を最大限利用した検証プロセスの社会実装・事業化を最終的に目標とする研究・事業計画である。最終的に、例えば、既存の臨床試験・治験代行及びサンプル分析会社として事業化することをイメージしている。将来的には、食品分析からDNAの分析まで、より専門的な分析を加えることが可能と予想される。
