地域における下水道網の水量などを下水道のいくつかのマンホールに設置した各種センサーによりセンシングし,得られたデータをLPWAで拠点に設置されたエージェントサーバに転送するシステムの開発が課題である.このシステムでは電源設備が無い,マンホールにおいて安定した長期間のバッテリ駆動,平常時の間欠動作モードと避難誘導支援エージェント起動時のエージェントの指示に従うリアルタイム測定モードの切替プロトコルの開発も課題である.解決手法として、地域における下水道や河川支流の水位ならびに水流を各種センサーによりセンシングしたデータを活用した地域水流危険度予測方式を検討している。
市町村などの自治体が管理運営する下水道の老朽化が進み,耐震性,原因不明な流量の増減が問題となっている.特に短期的な局所豪雨が発生したとき,汚水と雨水の分流方式を採用しているにも関わらず、急激に増加した雨水が汚水に混ざり,下水処理場の能力をオーバーすることが問題となっており,有効な対策が取れていないまま,急激に冠水・浸水被害が発生している.このような突発的な水害に対しては迅速な避難誘導/行動が取れず,市民生活に多大な困難を与えている.
本カテゴリでは,自治体と連携し,水道局の協力を得て下水道網のいくつかのマンホール内に水量,水流速を計測するセンサー,マンホール周辺の降雨量,温度,振動の計測するセンサーを設置する.これらのセンサーからの測定値を集約して,マンホール内に設置した無線装置からLPWAネットワークを介して避難誘導支援エージェントに転送する.このような豪雨水害に向けたIoTセンシングシステムを開発する.
従来からも、マンホールなどにセンサを設置して水位や流量を測定する試みは行われているが、これらを地域でネットワーク化し、水害の予測に活用する段階まで行われている例は見られない。
本システムが実現できれば、次のカテゴリで示す河川を含む内水氾濫の予測精度向上が期待され、避難誘導支援システムを通じて、地域の安心安全な社会基盤の構築に大きく貢献することができる。