不動産の視点で考えるスタートアップ
2021年6月23日
旧来型ビジネスの基本は不動産ビジネス
世の中には、色々なビジネスが存在します。
一方で、旧来型のビジネスの大半は不動産を基盤にしたものでした。
不動産賃貸はもちろん、
店舗しかり、
工場しかり、
病院しかり、
映画館しかり、
そして大学もそうです。
即ち、不動産をいかに効率的に活用して、不動産賃貸を上回る高利回りを上げるというのがビジネスの視点だった訳です。
日米の不動産価格推移の比較から見える事
下図の海外投資データバンクHPからの引用のグラフをご覧下さい。
かつて、日本においても不動産価格は上昇し続けていましたから、不動産バブル崩壊前の1980年代以前であれば、とにかく不動産を取得して、不動産を活用したビジネスを始めれば、そのビジネスそのものは対して儲からなくても、会社の資産は自動的に拡大して行く確率が高かった事が分かります。
米国ではリーマンショックで一旦、不動産価格は一旦、下落したものの、主に移民による人口増による堅調な不動産需要の恩恵を受けて、不動産価格は再び上昇基調に転じています。
即ち、米国においては旧来型の不動産のキャピタルゲインを基軸にしたスタートアップはまだまだ成り立つ可能性があるものの少子高齢化が進む日本においては不動産のキャピタルゲインを基軸においたスタートアップの成立は困難になって来ています。
逆に、少子高齢化による人口減に加え、コロナ禍の影響があり、今後はテレワークの拡大で、オフィス需要の減少が想定される事から不動産価格のゆるやかな低下が予想されますので、不動産を取得してスタートアップを行うのはリスクとなってきています。
新たな視点のスタートアップの形
DXにおいて注目されているのがサイバー空間です。
従って、サイバー空間やクラウドによるスタートアップが脱不動産的な動きの中で、盛んです。
一方で、このようなIT系ビジネスは少し飽和感があります。
従って、サイバー空間にリアル空間を融合させたビジネスが注目されつつあります。
サイバーフィジカルシステム(CPS)という言葉があります。
サイバーフィジカルシステムとは、現実(フィジカル)の情報を仮想空間(サイバー)に融合させ、コンピューティングによる分析結果を再び現実世界にフィードバックし、ソリューションを示すシステムの事です。
サイバーとフィジカルを融合させた空間での付加価値の向上が、今後のビジネスの鍵になるのではと考えております。
大阪工業大学
研究支援・社会連携センター
シニアURA
北垣和彦