なぜ日本からユニコーンが生まれないのか
2021年5月25日
ユニコーンとは
ユニコーンとは、伝説の生き物で、日本語では、一角獣。額の中央に一本の角が生え馬に似ています。
最近ではユニコーン企業の事を示すことが多くなっていますが、ユニコーン企業とは、急成長中のベンチャー企業のことを指しますが、以下の三条件を満たす企業の事です。
・企業価値(推定時価総額)が10億ドル以上であること
・創業10年以内である事
・非上場企業である事
日本におけるユニコーン企業は次の三社とされています。
- プリファード・ネットワークス
AI技術を用いた制御技術の開発企業であり、主要顧客は主に製造業です。 - リキッドグループ
暗号資産 / 仮想通貨取引所です。
- スマートニュース
ご利用になっている方も多いのではないでしょうか。スマホアプリによるニュースサイトを運営しています。
お気づきの通り、全てIT系企業となっています。
世界のユニコーン企業
日本におけるユニコーン企業が3社であるに対して、世界はどうなっているのでしょうか?
米国の調査会社 CBインサイツ発表によると、2019年9月の時点で、ユニコーン企業は下記通りとなっています。
■1位:アメリカ 151社
■2位:中国 82社
■3位:イギリス 16社
■4位:インド 13社
やはり世界のユニコーン企業を見渡してみてもIT系企業、もしくはITを活用した新たなビジネスモデルを構築している会社が多いのが実態です。
ここで私はユニコーン企業がITと重要な関係がある事から、言語がユニコーン企業が生まれやすいかどうかの重要な鍵を握っているのではないかという仮説を持っています。
ユニコーン企業輩出1位、3位、4位のアメリカ、イギリス、インドは英語が主流ですし、中国はもちろん中国語であるように、言語人口がユニコーンを生む大きな要因になっていると考えています。
又、IT系企業の起業価値が高めに見積もられる要因としては、株式上場されれば、過去記事の技術革新と政治経済の関係で述べさせて頂きました通り、IT系企業は上場しても余剰資金が生じて、マネーによるレバレッジが働きやすくなり、急成長と企業価値の急上昇が期待できるという点が考えられますので、期待値が大きく、どうしてもIT系にユニコーン企業は偏りがちになっていると考えております。
日米株式相場の比較
上記の理論から言えば、企業がどの株式市場傘下で、事業を行っているかによって、株式上場した後の、パーフォマンスに対する期待値が異なって来ます。
当然、パーフォーマンスが高い市場にいた方が、ユニコーンが生まれてくる可能が高くなります。同じ事業内容であれば、パーフォマンスの高い株式市場傘下にいた方が良いわけです。
下図は、楽天証券のHPから引用した1989年1月9日(月)の数値を100とした場合のパフォーマンスの図を示しますが、米国市場で起業する場合と日本市場で起業する場合の有利さの違いが如実にお分かり頂けると思います。
1989年1月9日(月)の数値を100とした場合のパフォーマンス
GDPの伸びの差
次に各国のGDPの長期系列の図を示します。諸外国が成長を示している中、日本のGDPの成長がいかに停滞しているかがお分かり頂けると思います。
このように停滞している経済の中では、中々、ユニコーンが生まれにくいのが実態ではないでしょうか?
ユニコーン企業によってのGDP押上金額はわずかです。
ユニコーン企業が生まれないから、経済成長しないのではなく、経済成長していないから、ユニコーン企業が生まれてこないのが実態であると考えています。
日本はソニーやホンダと言った世界に名だたるスタートアップを数多く、生み出しており、戦後の高度成長期にそれらのスタートアップ企業は急拡大を成し遂げています。
ユニコーンを輩出するには、やはり経済成長が必要であると考えます。
大阪工業大学
研究支援・社会連携センター
シニアURA
北垣和彦