PDCAサイクルからPDRサイクル、そしてOODAループへ
2021年6月3日
PDCAサイクルについて
PDCAサイクルは戦後の日本製品の品質に対するブランド力構築の最大の貢献を果たした手法であると言って良いでしょう。
当該手法そのものは、1950年代にQC研究の第一人者のウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱されましたが、実際にその考え方が根付いたのは日本でした。
PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を実現する手法です。
特に日本では製造業において多く、PDCAサイクルが導入されて来ました。製造業のような工程、すなわちプロセスが決まっているものには、PDCAサイクルはうまく稼働してきたのです。
巷にはPDCAサイクルの本が溢れていますが、ここ最近になってどうもPDCAサイクルでは、うまく行かなくなっていると感じられている方も多いのではないでしょうか?
その最大の原因は、PDCAサイクルは通常では半年とか一年単位のサイクルで回していたのが、世の中の変化が速くなり、そんなスピードでは追い付かなくなっているのが一因であると考えられます。
そしてPDRサイクルへ
PDCAの欠点を補うために生まれてきたのが、PDRサイクルです。
PDRサイクルはハーバードビジネススクールのリンダ・ヒル氏が提唱した新たな手法です。
PDCAサイクルでPはPはPlanning即ち計画でしたが、PDRサイクルではPはPreparation即ち準備を表しています。計画なんて立てないという点がポイントです。
PDCAサイクルでDはDoで実行ですが、これはPDRサイクルでもDはDoです。即ちなんと言っても実行こそが重要だと言えます。
PDCAサイクルではあったCheck(評価)と、Action(改善)はPDRサイクルでは存在しておらず、
代わりに、R即ち、Revie(評価)に代わっています。実行した結果に基づき振り帰るという事です。
PDRサイクルはPDCAサイクルよりずっと短いスパンで、高速にサイクルを回すという考え方です。
多くの組織では、ともかく P、すなわち計画に時間をかけすぎて、実行が疎かになりがちです。
計画をしっかり立てるのではなく、小さな実験を繰り返すという考え方がPDRの考え方であり、変化の激しい時代に対応する方法でもあります。
OODAループ!
OODAループは、アメリカの航空戦術家のジョン・ボイド氏により提唱されました。
OODAループはDPRサイクルと同様に、行動に移す速さに特長があります。
OODAループは観察(Observe)→仮説構築(Orient)→意思決定(Decide)→実行(Act)の4ステップから構成されています。
PDCAサイクルは、工程すなわちプロセスが決まっているものには有効に働きますが、工程やプロセスが固まっていない未知の分野にはうまく働かないのです。
対して、OODAループはベンチャー起業と言った未知の領域にはうまく働くとされている手法です。
大阪工業大学は現在、大学発ベンチャー起業に着目しています。
従って、筆者もDPRやOODAループに注目しています。
大阪工業大学
研究支援・社会連携センター
シニアURA
北垣和彦