相関関係と因果関係
2021年6月8日
相関関係と因果関係の違い
相関関係とは、広辞苑の説明では一方が他方との関係を離れては意味をなさないようなものの間の関係となっています。
有名なところでは、二酸化炭素濃度と地球の気温の関係でしょう。
因果関係とは、広辞苑の説明では、原因とそれによって生ずる結果との関係となっています。
先ほどの二酸化炭素地球温暖化説に当てはめると、二酸化炭素による温室効果ガス効果が、地球温暖化を引き起こすとしている仮説が、因果関係を示しています。
一方で、逆に地球が温暖化すれば、海水温が上昇し、海水中に溶けていた二酸化炭素が空中に放出されるので、二酸化炭素濃度が上昇するという仮説もあります。
この仮説が正しければ、二酸化炭素地球温暖化説とは因果関係が逆になります。
このように相関関係があっても、どちらが原因でどちらが結果か正しく見極めないと、原因を取り除く施策そのものが無意味になってしまいます。
それどころか、実際に相関関係すらないのに、何かの悪い結果をもたらす原因だと決めつけられている事柄も世の中には多数存在しています。
原因究明の方法
なぜ、原因と結果がはっきりわからないのか、その理由を考えてみましょう。
問題を発見した段階で、対策がバイアスがかかって原因を決めつけているケースがあります。
そこで決めつけた原因をもとに、対策が打たれる訳ですが、その対策を正当化するために、つじつまがあうデーターを収集し始める事があります。
このようなアプローチは全く無意味なだけでなく、事態をより悪化させる事もあります。
対処療法的な対策ではなく、本質的なアプローチによる原因究明と対策を講じる事が重要です。
そのためには2種類のアプローチがあります。
まず一つ目は垂直的なアプローチです。
問題の原因は通常は多岐にわたります。原因の原因が存在し、深い階層を形成しています。
原因の原因を垂直に掘り下げていきます。
もうふたつ目は水平的なアプローチです。
水平的なアプローチでは原因間の因果関係を追いかけ、関係性を掘り下げて行きます。
これらの垂直的アプローチと水平的アプローチを見える化して分かりやすくするチャートに特性要因図があります。
特性要因図は、1956年に石川馨氏によって考案されたチャートで魚の骨に似ている事から、魚の骨図とも呼ばれています。
特性要因図は以下の3つのパラメーターから構成されています。
- 特性:管理の成績・成果として得るべき指標
- 要因 :特性に影響する管理事項
- 原因 :トラブルなど特定の結果に関与した要因
具他事例な事例として、前述の地球の気温の変動という特性を特性要因図に下図の通り、表してみました。
特性要因図を作成して原因を探索したとしても、最後に、見つけた原因に関し、定量的なファクトをもって裏付けをとり、真因であったかどうか検証する事が必須となります。
検証方法は主に下記の3つの方法があります。
- 再現実験による検証
- データによる検証
- シミュレーションによる検証
このように社会や企業が抱える課題を解決するには散布図を使い、相関性を確認しながら、特性要因図を用いて見える化を行った上で、検証して行くというプロセスを取りますが、これはまさしく研究プロセスであり、大学が得意とするところです。
企業の皆様は、このように自社の課題解決を相関関係と因果関係という視点で取り組むためにも産学連携を検討されるのはいかがでしょうか?
大阪工業大学
研究支援・社会連携センター
シニアURA
北垣和彦