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パワー半導体は半導体産業の復活の救世主になりうるか?

2021年4月12日

投稿者: 北垣和彦

成長しつづける市場

スマホやタブレットの普及のみならず、身の回りのあらゆるものが半導体チップが搭載され、スマート化される事により、世界の半導体需要は増え続けています。

市場そのものが成長しているののも関わらず、半導体産業への設備投資は巨額な金額が必要となるため、設備投資は特に、前工程と呼ばれる工程においては一部の財務力がある企業でないとできない事であり、その結果、世界的な半導体不足に陥っており、自動車産業においては、しばしば生産停止を余儀なくされています。

世界の半導体市場規模(WSTS日本事務局まとめ資料からの引用)

日本の強みである半導体製造装置と半導体材料

かつて鉄が産業のコメと呼ばれていましたが、やがてその主役を半導体が担う事になりました。

特に、1980年代からは1990年代は多くの日本企業が半導体業界に参入し、日本の半導体の世界シェアは約半数を占めていた時代がありました。それが、現在では世界のマーケットシェアが一桁台にまで落ち込んでいます。

一方で、世界の過半数のマーケットシェアを占めていた名残りで、いまだに日本の半導体製造装置や材料は強く、広く世界に製造装置や半導体用材料の供給を続けています。そのことが私のかすかな慰めと言った所でしょうか。

 

パワーデバイスについて

スマホ等に搭載される最先端の超微細の半導体の需要は今後も伸び続けるでしょうけれども、新たに需要の拡大が期待されている半導体がパワー半導体です。

パワー半導体の中で特に、期待されている材料は「酸化ガリウム(Ga2O3)」です。半導体の世界では敗戦気味の日本企業が世界市場でまだなんとか健闘しているのが、パワー半導体であり、成長が期待されている分野です。

次世代のパワー半導体の材料として考えられているのが、シリコンの性能限界を超える「ワイドギャップ半導体」です。

ワイドギャップ半導体の代表は、炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)がありますが、これらの材料に対するドライエッチング装置やプラズマCVD装置の開発・販売のベンチャー企業の立ち上げ経験が筆者にはあります。

これらの材料は高耐圧のパワー半導体、高周波のパワー半導体として既に製品化されています。

酸化ガリウムは、炭化ケイ素と窒化ガリウムに続く「第3のパワーデバイス用ワイドギャップ半導体」として注目されつつあります。

下表にパワーデバイス用半導体材料の性能比較を示します。

尚、パワー半導体に適した材料かどうかを判断する指標としてバリガ性能指数がよく用いられています。

この指標は、シリコンが1としての比較となりますが、炭化ケイ素が340、窒化ガリウムが870に対して、なんと酸化ガリウムはダントツの3444となっています。

即ち、酸化ガリウムによるパワーデバイスにより大きな省エネが実現できるわけです。

酸化ガリウムの凄い所は、省エネ性能だけではありません。製造コストが、単価ケイ素や窒化ガリウムと比較して各段に安い事も大きなメリットです。

幸いにも酸化ガリウムによるパワー半導体研究は日本が先行しています。この分野をトリガーにした日本の半導体産業の復権を願っております。

炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化ガリウム等の化合物材料を用いた半導体のことを化合物半導体と呼んでいますが、化合物半導体業界に身をおいていた筆者にとって酸化ガリウムで日本が頑張っている様子をみると感慨ひとしおです。

酸化ガリウムはミストCVD法により、成膜されますが、大阪工業大学にもミストCVDの研究者がいます。

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