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大学発ベンチャーとスタートアップエコシステム

2021年4月13日

投稿者: 北垣和彦

埋もれるれる研究シーズ

日本の多くの科学技術研究費、特に基礎研究分野に投入されているため、日本の大学には、宝の山ともいえる大化けするかも知れない研究シーズが多数、埋もれています。

多くの研究シーズが埋もれてはいますが、大学の研究シーズが企業等に技術移転されて、実用化や事業化されるものは、ごく一部であるというのが現状です。

セーフティネットとしての大学

大学発ベンチャーの利点の一つがセーフティネットであると話をさせて頂くと、大学の事をあまりご存じでない方々は、「一体何のこと?」と思われかも知れません。

世間ではあまり知られていない事ですが、大学、特に研究者の雇用は企業での社員の雇用とは趣が異なっています。

大学は企業とは異なり、兼業が認められているケースが多いため、大学教職員の身分のまま一定レベルの収入を確保したままベンチャー起業が可能であり、ベンチャー起業に失敗しても、大学教職員の立場が保証されているので、挑戦しやすいという状況が生まれています。大学は個人事業主の集まり的な側面があります。

大学発ベンチャー起業エコシステム

エコシステムと言う言葉をご存じでしょうか?エコシステムとは、生態系を指すecosystemの日本語訳です。従来は、食物連鎖や物質循環と言った生物系の循環システムのことを意味する科学用語です。コミュニティが発展していけばエコシステムとなって行きます。

しかし今日では、エコシステムの言葉の意味が従来の生態系を超えて幅広く、バリューチェーンを代表とする経済的な依存・協調関係を示したり、大企業を頂点とした企業城下町と言った産業構造を示したりします。

エコシステムを示す事例として自動車産業があげられます。 自動車はハード単体では成り立たず、まずは道路が必要です。道路を建設し、維持するのには、地方自治体、建設土木業者、信号機メーカー等々数多くのステークホルダーが必要となります。 道路だけ作っても車は走りません。ガソリンスタンドが必要となります。

又、ガソリンスタンドにガソリンを供給するシステムが必要になります。そして免許です。免許一つをとっても、自動車教習所や運転免許更新センター、交通安全協会等々それを取り巻く、数々のステークホルダーが存在しています。

その他、整備、自動車パーツなど、言い出すときりがない程、沢山のステークホルダーによりエコシステムが構築されて、はじめて車社会が実現しています。

大学発ベンチャー企業が育って行くのも同様のエコシステムが必要であると考えらています。大学発ベンチャー起業のエコシステムの構成メンバーは例えば次のようなものが考えられます。

銀行、ベンチャーキャピタル、地方自治体、コンサルタント、地元企業、商工会議所、その他・・・・

GAPファンドについて

まずは論文や特許といった大学の研究シーズが存在するだけでは、ベンチャーを起業しようとする動機はうまれません。

研究シーズを基に、商品にした場合の試作品を作成したり、実用化のための実証実験等が必要になります。このような行為の事はPoC(Proof of Concept)と呼ばれており、そのための資金の事はGAPファンドと呼ばれています。

大阪工業大学は神戸大学とともに研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム <社会還元加速プログラム(SCORE)大学推進型> に採択されました。

本採択事業は、5年間の事業終了後も自立して継続的なGAPファンドやシード投資ファンドを確保・発展させ、大学発ベンチャー起業を通じて、大学の研究シーズの社会実装を促進することを目的としています。 今後の神戸大学、大阪工業大学発の大学発ベンチャーにご期待下さい。

大阪工業大学

研究支援・社会連携センター

シニアURA

北垣和彦

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