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風の時代における産学連携

2021年4月24日

投稿者: 北垣和彦

風の時代への転換

西洋占星術の業界では、密かに風の時代が来たと言われています。占いを信じなくても、2020年から始まったコロナ禍で、時代の変わり目を実感している人も多いのではないでしょうか?

筆者は、占いを信じているわけではありませんが、「風の時代」というネーミングに思わずロマンを感じてしまいます。

少し、風の時代について西洋占星術における解説をしておきます。

2020年12月22日 木星と土星の大接近である「グレートコンジャンクション」がありました。12月22日は実は筆者の誕生日でもありますので、何か運命的なものを感じます。

「グレートコンジャンクション」は約20年に一度起こります。

一方で、この現象は過去200年は、土の星座と分類されている牡牛座・乙女座・山羊座で起こっていましたが、2020年は、風の星座である水瓶座で起きました。

そして、今後の200年間はずっと風の星座と呼ばれる双子座・天秤座・水瓶座で起こりますので、この事が「風の時代」に移行したと言われている所以です。

 

土の時代の振り返り

では今から200年前の「土の時代」のはじまりの際には、世界的にはどのような事が起こっていたのでしょうか?

200年前にはちょうど、イギリスで産業革命が起こり、世の中はまさしく、大量生産・大量消費社会への口火を切ったのでした。

この大量生産・大量消費社会を迎え、「土」というは文字通が表す通り、物や形あるものについての所有を人々は欲した時代に突入しました。

この200年の間は、資本主義と技術革新の相乗効果で、一気にモノの溢れる社会に突入した訳で、それはそれで多くの問題は抱えていましたが、ファクトフルネスという本に記載されている通り、全世界の飢餓、貧困、疾病等の社会的課題は大幅に改善され、人類の歴史においては、非常に意義があり、人類が大きく進歩した時代でした。

しかし、行き過ぎた物質主義は、格差社会や精神面の貧困等の新たな問題を産み出す事になり、土の時代のアンチテーゼが限界に達し、アウフヘーベンとしての風の時代をまさしく迎えようとしていると解釈できるのではないでしょうか?

 

風の時代についての前兆

風は土とは異なり、目に見えません。では新時代の目に見えないけれど、時代の変革に大きな影響を及ぼしているものは何かと問われれば、それはやはり情報、特にデジタルという事になるでしょう。

シェアリングエコノミーについて他コラムでも投稿しました。

風は、土とは対極的であり、持たない事を象徴しています。

必要なものを必要な時に調達して、必要なだけ使用する。・・・・それが風の時代の基本的なスタンスとなるものと思われます。

このことが実現するためには、オンタイムでのモノやサービスの提供が低コストでないと成り立ちません。

別のコラムでも紹介しましたトヨタ生産方式のような考え方が必要になります。

実は、トヨタ生産方式のような考え方は、少しづつ社会に浸透してきています。

わかりやすい事例でいいますとコンビニです。

都市部に暮らしていると、コンビニは徒歩圏内の身近な場所にあります。

即ち、各家庭で食料品や衛生用品等の備蓄をしなくても、突然に備蓄がなくなっても、すぐにコンビニに買いに行けばよいという環境がすでに整っています。

かと言ってコンビニも十分な在庫を備えているわけではなく、POSシステムを導入して、在庫は最小限に抑えています。

在庫を最小限に・・・これはまさしくトヨタ生産方式が目指している事です。

このように、風の時代への到来へ向けての予兆は21世紀に入って、徐々に現れてきていたと言えるでしょう。

その象徴的なキーワードの一つがDXだと言えるでしょう。

 

クロスアポイントメントと新たな産学連携の形

実は、大学業界にも風の時代の予兆は少し前から、現れていては来ていました。

e-ラーニングやオンライン授業はその代表的な事象ですが、産学連携においてもその兆候があります。

その中の一つがクロスアポイントメント制度です。

クロスアポイントメント制度について解説します。

これは研究者が大学、研究機関、企業のうち、二つ以上の組織と雇用契約を結んだ上で、それぞれの雇用先での勤務割合を決めて、所属組織に応じた異なる職務に従事できる制度の事です。

クロスアポイントで雇用された大学教員や企業の研究者による橋渡しにより、産学連携をより強固なものにするという期待がありますが、別の意味もあります。

それは優秀な人材のシェアリングです。

例えば、DX時代において、人工知能の技術者などは喉から手が出るほど、欲しい人材でしょう。

しかし財力に余力がない企業では、人工知能の技術者を専任で雇用するのは難しい状況があります。

又、財力に余力があっても地方によっては人工知能の技術者自体が希少であったりします。

大都市の財力がある会社でも、トップクラスの人工知能の技術者を確保するのが困難なケースもあるでしょう。

風の時代におけるそんな課題解決の手法として考えられているのがクロスアポイントメント制度、さらに広い意味で、パラレルキャリアです。

現に、筆者の前の職場であったパナソニックは立命館大学と、2017年度より、産学官連携の高度化を実現するため、クロスアポイントメント制度の協定を締結しています。

具体的には立命館大学 情報理工学部の谷口忠大准教授が、クロスアポイントメントで立命館大学に在籍したまま、パナソニックに客員総括主幹技師として勤務されています。

パナソニックはIoT、ロボティクス分野に力を入れようとしているために、その強化策の一環としての協定締結だと思われます。

このように風の時代の産学連携においてはクロスアポイントメントの導入のような新たな試みがなされるでしょう。

「副業・兼業の現状①」厚生労働省労働基準局提出資料からの引用

大阪工業大学

研究支援・社会連携センター

シニアURA

北垣和彦

 

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