パラレルキャリアと高速学習
2021年4月29日
将棋の世界で起こっている事
一説によると、歴史的な将棋の名人であった大山名人や木村名人と、現在の若手の対戦すれば、現在の若手が勝つのではないかと言われています。
理由としては、インターネットにおける高速学習が挙げらます。
昔は将棋の勉強するには、紙に書かれた棋譜を読んで、勉強する必要がありました。
しかし現在では、インターネットにつながったPCにより、あらゆる過去の棋譜や戦術を高速に、しかも効率的に学べるようなって来たわけです。
AIとの対戦を通じて、強くなった藤井聡太二冠の話は有名になりました。
eラーニングの利点
このようにITを活用した学習をeラーニングと呼んでいますが、eラーニングの利点をいくつか整理しておきましょう。
・同時間、同一場所に生徒が集まる必要がなく、学びたい事をオンデマンドにどこでも学習できる。
・各個人の理解度、習熟度に応じた学習ができる。
・高速学習が可能となる
これらの事が、集合教育より低コスト実現せきてしまうため、イノベーションのジレンマの著書で有名なクレイトン・クリステンセン氏は教育の破壊的イノベーションはeラーニングであるとしています。
eラーニングとリモートで加速するパラレルキャリア
現在、パラレルキャリアという言葉が注目されています。
この言葉は町名な経営学者 P・Fドラッカーが『明日を支配するもの』という著書で示した考え方です。
著書の中で、パラレルキャリアとは「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」と定義されています。
副業とパラレルキャリアの違いを説明しますと、副業が主に別収入を確保する事が目的にしているのに対して、パラレルキャリアは収入の有無に関わらず、自分自身のキャリアアップや、社会貢献による自己実現を目指すものになります。
パラレルキャリアの事例を示してみます。
・趣味のビーズづくりを収益化するべく、作品のインターネット通販を始めた。
・現在は会社勤めだが、自分の故郷の市役所に転職して地元に貢献したいと考えており、そのための準備として地域ボランティア活動に参加している。
・将来ベンチャーを立ち上げたいと考えており、経営のノウハウを身に着けるため、大学時代の友人が起業したベンチャー企業の役員を兼務している。
・現在はメーカの研究職だが、将来は大学で教鞭を取りたいと考えており、クロスアポイントメント制度で、週2日 大学で授業を担当している。
・事務職であるが、今後デザインの道を歩みたく、大学の社会人向けオンライン授業で、デザインの勉強をしつつ自営業でデザインの請負仕事にも取り組んでいる。
パラレルキャリアのイメージを掴んで頂けましたでしょうか?
一方で、eラーニングでパラレルキャリアの為に必要な知識・スキルの習得が容易化、高速化され、リモート参加で、すきま時間を活用して、パラレルキャリアの実現が格段に取り組みやすくなってきています。
セーフティネットとしてのパラレルキャリア
この度のコロナ禍で、非常に顕著になった事がありました。
それはシングルキャリアの危険性です。
コロナにおいて観光業界や、飲食業界が大きなダメージを受けました。
もし世の中全体がパラレルキャリアが一般的で、これらの業界で働く人々が、複数の仕事を持っていたとしたらどうだったでしょうか?
事態の深刻さはもっと軽減されていたはずです。
通常の職場においても、人間関係が原因で心の病にかかる人はたくさんいます。
一つの職場にしか所属していないとこのようなリスクが高まります。
経済的にも精神的にも新たな時代のパラリアキャリアはセーフティネットとしてもっと期待されて良いのではないでしょうか?
即ち雇用関係によらない働き方です。
参考までに経済産業省による「雇⽤関係によらない働き⽅」に関する研究会の資料からその概念図を引用いたします。
経済産業省HPから引用
大阪工業大学
研究支援・社会連携センター
シニアURA
北垣和彦