大学とメタバース
2022年1月25日
GAFAによる破壊的イノベーションと次のターゲット
皆様ご存じの通り、GAFAはあらゆる業界で破壊的イノベーションを実現してきました。
スコット・ギャロウェイ氏著「GAFA Next Stage 四騎士+Xの次なる支配戦略」によるとGAFAの次のターゲットは大学と医療業界だとされています。
米国の事例を取ると40年間で大学は1400%授業料が値上がりしましたが、教育内容や方法は40年前と対して進化していません。
米国における教育産業市場規模は約100兆円規模であり、その多くが大学が占めているのでGAFAの絶好のターゲットにされてしかるべきでしょう。
マイクロソフトとメタのコラボによるプラットフォーム開発
メタバースのプラットフォームに関し、現在マイクロソフトとメタがコラボして開発を進めており、要注目です。
基本的なコンセプトとしては、マイクロソフトのコラボプラットフォーム「Teams」メタのコミュニケーションプラットフォーム「Workplace」との統合が検討されています。
マイクロソフトのTeamsは、筆者も利用していますが、2億5000万人のユーザーを有しており、3D化を目指して、同社が開発している仮想空間コラボプラットフォーム「Mesh」との統合が進められています。
統合後の3Dでのプラットフォームは、「Mesh for Microsoft Teams」と命名され、今年度にも登場する見込みです。
仮想大学キャンパス「メタバーシティ」の登場
同じく、本年度登場する事が期待されているのが、仮想大学キャンパス「メタバーシティ」です。
米企業VictoryXRは、メタとの提携でメタバース大学キャンパスを設立する計画を発表しました。
米国の大学キャンパスのいくつかをデジタルツイン化するという計画です。
即ち、本物そっくりのキャンパスをデジタル空間上に実現する訳です。
学生は、本物のキャンパスに行かなくても、VRヘッドセットを装着すれば、自宅で大学の講義を受ける事ができます。
GAFAの一角であるメタ社が早速、メタバースを活用して大学市場に殴り込んでくるわけです。
メタバース大学による学生のメリット
コロナ禍ですっかり遠隔教育が日常的になりましたが、遠隔教育とメタバース上の教育とは何が異なるのでしょうか?
リアルほどではないにしても仲間とのつながり、参画意識を感じる事ができる事が挙げられるでしょう。
それともう一つ重要な事はアバターで参加可能な事だと思います。
即ち、色々な個人的な理由でリアルな自分を隠したい、もしくは実際とは異なるキャラクターを演じたいという学生さんが、メタバースであれば気軽に参加可能であるという事が想定されます。
デジタルツインによる研究の推進
研究面においても筆者が秘かにメタバースに期待している事があります。
それはデジタルツイン研究所です。
デジタルツインとはリアルに存在する空間やモノをそっくりとメタバースのようなサイバー空間上に構築する事です。
デジタルツインとしてリアルとバーチャルに構築された空間やモノは相互作用するようになっています。
従って、デジタルツインで研究所を構築するとは、実際に存在する大学等の研究所をバーチャル上でそっくりさんを構築する事になります。
メタバース上の研究所だと、例えば海外からも研究者が容易に研究に参加できるようになりますので、リアルな研究所と連動していけば、より研究が加速推進して行く事が期待できます。
以上、教育にしても研究にしても大学としてメタバースにどのように取り組んで行くべきか真剣に考える必要があると考える今日この頃です。