RESEARCH TITLE 【2021~2023年度研究PJ】微粒子クロマトグラフィー技術の実現に向けた次世代型マイクロ流体デバイス開発ユニット

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RESEARCHER研究者リスト

M yokoyama

研究代表者工学部 機械工学科横山 奨 講師

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研究分担者

工学部 電子情報システム工学科

廣芝 伸哉 准教授

E yoshida

研究分担者

工学部電気電子システム工学科

吉田恵 一郎 准教授

外部協力者

東海大学機械工学科

木村 啓志 准教授 

外部協力者

東海大学機械工学科

砂見 雄太 准教授 

外部協力者

株式会社ダイス佐藤 茂樹

OVERVIEW研究課題の概要

マイクロ流体デバイスは、多種多様な応用例が考えられ実用化に向けた研究が盛んに行われている。一方で、更なる高機能化を目指す上では、単純な流体作用に依存したデバイスでは十分でなく、流体作用に依存しない操作技術や、検出技術を必要としている。また、高度化したマイクロ流体デバイスは量産コストが上昇する傾向にあり、産業化が進まないという欠点も露呈している。このような課題に対応するために、本プロジェクトでは、静電集塵やMEMS、画像認識に関して専門的なノウハウを有する研究者がユニットを作り有機的な研究体制を構築することで、マイクロ流体デバイスの高機能化を実現する。また、高分子樹脂製マイクロ流体デバイス量産技術に関する共同研究を実施している外部企業を加えることで、産業化に向けた低コスト化にも対応できる体制とする。

研究期間で取り組む具体的な課題としては、微粒子クロマトグラフィー技術を対象としている。代表者が研究中のマイクロ流体デバイスを用いた連続的微粒子分離技術に、研究分担者の静電集じん技術、外部協力者による微細電極作製技術や高分子樹脂製マイクロ流体デバイスの作製技術を組み合わせることで、気体中の微粒子をその直径、質量、材質、形状などにより分離・回収する技術を開発する。

初年度は、主に研究代表者と分担者による概念実証に充てる予定である。両者の保有している研究成果を融合し、気体中の微粒子を連続的に回収可能であることを実証する。翌年度からは、電極の微細化など、微粒子の回収技術に特化した改良を行う。最終年度には、協力企業などとともにより実用的な微粒子クロマトグラフィー技術としての確立を目指し、デバイスの最適化を実施する。

本プロジェクトで作製した試作デバイス
試作デバイスの要素技術

REASON課題実施の根拠

マイクロ流体デバイスには多くの企業も参画しており、島津製作所やパナソニックが多数の特許を出願している。両企業ともセンサ系に優れた技術を保有しており、マイクロ流体デバイスは単純な流体操作から、各種電子デバイスやセンサを集積化した次世代のデバイスに移行しつつあることが分かる。この傾向は学会においても顕著であり、近年はマイクロ流体デバイスの専門家のみでは新たなデバイスの開発は困難となりつつあり、電気電子分野の専門家やセンサ、画像処理分野の専門家、さらにはユーザーとしての医療分野の専門家がチームで研究を行う例が増加している。

本プロジェクトのような研究ユニットを実現できれば、マイクロ流体デバイス関連の技術を発展させるのみならず、本学の学術的地位を向上させるとともに社会貢献の幅を広げることにもつながる。

世界のマイクロ流体デバイスの市場規模は、2026年には226億5,000万米ドルに達すると予測されている。研究機関のみならず、上述のような企業が医療やライフサイエンス分野、化学分析や環境分野への応用を目指して盛んに研究を実施しており、将来有望な分野と言える。特に、高度な高齢化が進んでいる我が国においては、遠隔医療やポイントオブケア診断などへの大きな期待が寄せられている。

本研究プロジェクトは、国内では稀有な複数分野の専門家によるマイクロ流体デバイス関連研究ユニットである。また、研究段階から量産を想定可能な組織としては、研究代表者の知る限り唯一の組織である。

EFFECT期待効果

期待される研究成果

本プロジェクトでは次世代型マイクロ流体デバイスの開発ユニットを構築し、第一弾として、静電集じん技術をマイクロ流体デバイス内に集積化することで、気体中のPM2.5やマイクロプラスチックなどの微粒子を、直径、質量、材質、形状でソーティングし個別に回収可能な微粒子クロマトグラフィー技術の開発を目指す。

研究代表者は、基本的に年1編以上の論文を執筆しており、研究分担者や外部協力者も同等かそれ以上の水準にあるため、3年間で6編以上の論文執筆を目指す。ただし、次項の知財との兼ね合いもあるために、論文や学会発表などは慎重に進める予定である。

学会発表に関しては、

・Electrostatics Society of America

・Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (µTAS)

(マイクロ流体デバイス関連の学会の中で最も評価の高い学会)

・IEEE Industry Applications Society

・日本機械学会年次大会(機械学会分野で国内最大規模)

・電気学会

・静電気学会

ジャーナルについては

・Advanced Powder Technology(日本粉体学会が編集 IF≒4)

・Journal of Electrostatics(静電気関連の最も権威ある雑誌)

・Microfluidics and Nanofluidics

・PLOS ONE

などを想定している。

期待される知財の成果

現在開発されているマイクロ流体デバイスは、基本的に液体の操作に特化しており、気体に対応した研究は少ない。マイクロ流体デバイスの大半がシリコーンゴムの一種であるPDMSで作製されており、ガス透過性を有すること、その粘着性から機体中の微粒子などを吸着してしまうことが原因と思われる。また、微粒子誘引機能のみのデバイスは多数あるものの、ソーティング機能と回収機能を備えたデバイスは現在までに先行事例を発見できていない。

研究代表者は近年、高分子樹脂製マイクロ流体デバイスの量産技術の基礎研究を精力的に実施しており、複数の競争的資金の獲得にも成功している。この技術を基に、研究協力者の静電集じん技術を融合する形での発展を狙っているため、先行技術の知財を回避できる可能性は高いと考えている。

各種要素技術やデバイス全体に対して、3年間で1〜2件の特許出願を目指す。

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