RESEARCH TITLE 【2024年度研究PJ】分子凝集発光の制御に基づく量子コンピュータ素子材料開発

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RESEARCHER研究者リスト

※2024年度当時の所属で表示しています

研究代表者工学部 応用化学科平井智康 准教授

研究分担者

工学部

応用科学科

村田理尚 准教授

OVERVIEW研究課題の概要

DNARNAに代表される天然高分子は, 螺旋構造を形成することで生命活動に不可欠となる高度な機能を発現している. 近年では天然高分子を模倣し, 合成高分子に対して螺旋構造を付与する試みが行われている1). 当研究室はこれまでに, 立体規則性が制御されたポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン (POSS)含有メタクリレート高分子 (PMAPOSS)に対して少量のキラル分子を添加することで, 一方方向に巻き方向が制御された動的螺旋構造が形成されることを報告している2). しかしながらその一方で, POSS含有高分子の静的螺旋構造形成は成し遂げられていない. 本研究では, POSSの側鎖に対してシステイン誘導体を導入した新規螺旋高分子を調製することで, POSS含有高分子の静的螺旋構造形成を目指すことを目的とした.

REASON課題実施の根拠

ビニルトリメトキシシランとアセトン, , 塩酸をフラスコに収め, 48時間, 50℃で攪拌し8ヶ所にビニル基を有するPOSS (VinylPOSS)を調製した.トリフルオロメタンスルホン酸を用いてVinylPOSSのビニル基一つをスルホネート化した後, 加水分解をすることでビニル基の一つをヒドロキシ基で置換した化合物 (VinylPOSS-OH)を調製した. トリエチルアミン存在下, メタクリル酸クロリドとVinylPOSS-OHを反応させることでMAVinylPOSSを調製した. tertBuMgBrを開始剤とするアニオン重合法に基づき, 立体規則性をアイソタクチックに制御したPMAVinylPOSS (it-PMAvPOSS)を調製した. さらにエンチオール反応に基づき, システインを導入することで目的とする高分子it-PMACysPOSSを調製した. また調製したit-PMACysPOSS600℃で焼成することでキラルシリカの調製を行った.モノマーおよびポリマーの一次構造を核磁気共鳴 (1H, 13C NMR)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定により評価し, 高分子の二次構造は振動円二色性分光光度計(VCD)測定に基づき評価した.

¹H NMR測定に基づきit-PMA-CysPOSSの一次構造評価を行った(Figure 1). 6.0 ppm付近に観測されるビニル基のシグナルが完全に消失し、さらに 全てのシグナルが明確に帰属されたことから, 目的とするit-PMA-CysPOSSが得られたと結論付けた. it-PMACysPOSSの二次構造を評価するため, VCD測定を行った (Figure 2a). 1749 cm⁻¹および1250–1150 cm⁻¹のエステル基に由来するピーク上においてにコットン効果が観測されており, さらに (D)および (L)Cysで鏡像関係が示された. より詳細な知見を得るため円偏光発光 (CPL)に基づく評価を行った (Figure 2b). it-PMACysPOSSnπ*遷移に帰属される450 nmのピーク上においてCPLが観測された。これらの結果はit-PMA-CysPOSSが螺旋構造を形成していることを示している.

POSS誘導体は焼成することによりシリカの前駆体として機能することが知られている。it-PMA-CysPOSSが螺旋構造を鋳型としたシリカの調製に取り組んだ。it-PMA-CysPOSS600°Cで焼成し、VCDおよび透過型電子顕微鏡(TEM)測定より評価した(Figure 3a, 3b and 3c)IRのピーク上においてSi-O-Siの非対称伸縮振動に帰属される1240~1000 cm-1のピークのみが観測されていることから焼成過程において有機物が完全に分解し、シリカが得られていることは明らかである。さらにこのIRピーク上においてVCDシグナルが分裂型のコットン効果を示した。TEM像からはサブnmスケールの螺旋構造の形成されていることが観察されていることから、it-PMA-CysPOSSがキラルシリカの鋳型として機能していると結論付けられる。

EFFECT期待効果

結論

本研究課題では新規POSS含有高分子の開発を行った。POSS含有高分子は一方方向に巻き方向が制御された螺旋構造を形成し、さらに焼成過程においてこの構造が保持されることでキラルシリカの鋳型として機能することが明らかとなった。

投稿済みの論文

1.    Hirai et al, Chem Lett., 2015, 54, upaf026.

2.    Hirai et al., Macromolecules, 2015, submitted. (リバイス中)

 

・学会発表(招待講演)

1.  Tomoyasu Hirai, Italia-Japan Binational Conference on Chiroptical and Related Phenomena, 2025/1/7. (北里大学)

 

・ジャーナル投稿予定

論文執筆中。8月までには投稿予定。

 

・競争的資金、共同研究先企業

 

ムーンショットNEDOに採択決定(20254月)

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大阪工業大学 研究支援社会連携推進課

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