商業建築のファサードにおける工芸材料(信楽焼陶板)の活用
建設の機械化や合理化が進む現在の建設現場では、1990年代を境に職人や技術者による手づくりの仕事が激減している。日本の美意識や工芸技術に裏打ちされた繊細な建築表現は、一部の特殊建築に限定され、いずれは職人が姿を消して、その技術は二度と再現できないことが懸念される。人間の五感に訴える手づくりの風合いを現代後方に取り入れる接合方法を考案して、日本の伝統を感じさせるファサードを構築する。
毎年7月に催される伝統行事,祇園祭においては,「山」や「鉾」と呼ばれる大型の山車を保有する「山鉾町」の各所で,神事や祭事などの様々な催しが行われる。2017年より本研究室で運営協力を行っている岩戸山町もそのひとつであり,2019年においては,「岩戸山」に隣接し,祇園囃子を演奏する「囃子方」が演奏の幕間に休憩や準備を行う休憩所を木製テントで実現することを設計,設営することとなった。計画にあたっては,規模に見合う主要骨格の設計や,構成部材の選定,搬送,組立手順のみならず,山鉾や京都の伝統的景観だけでなく,駒形提灯や露天などの祭礼独特の空間演出にも調和するよう検討,試作を重ねた。
論文
「景観に配慮した祇園祭山鉾町における仮設休憩所のデザイン」(2020)『日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会』p.150-151.
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