研究テーマの分類 - 建築

26件の研究シーズが見つかりました

河野 良坪

地下街における火災発生時の煙流動と連動した避難計画に関する研究

 日本の大都市の中心駅周辺では地下街が形成されている場合が多い。特に大規模の地下街は利便性が高い反面、安全性に課題を持っているため、防災に関する研究対象としてよく取り上げられる。しかし、その多くが津波・高潮被害についての研究となっており、火災発生時の避難に関しての研究、特に即地的なシミュレーションを扱った研究は少ない。発災から地下街利用者へ被害が及ぶまでのスピードは非常に速く、予め綿密な避難計画を立てることは非常に重要である。地下街は高齢者や車椅子利用者も多く、介助者も含めた行動特性は避難計画において考慮されるべきであるが、こうした条件下での避難シミュレーションに関する研究はあまり見られない。  本研究では、地下街火災を対象にCFD解析とマルチエージェントシミュレーションを連携させた避難計画の手法について研究する。

今川 光

関西地域の住宅における温熱環境と快適性及び居住者行動に関するフィールド調査

人間が多くの時間を過ごすであろう建築内の快適性構築は重要である。本研究では関西地域の実際の住宅において、温湿度計などによる「物理環境自動測定」と居住者に快適性と行動習慣を回答してもらう「アンケート申告」を同時実施する「フィールド調査」を1年以上行い、居住環境のデータセットを構築する。このデータセットを統計解析することで、居住実態を解明するとともに、季節に応じた適切な温熱環境や居住者行動を提案する。

河野 良坪

木造密集市街地における防災シミュレーション

わが国には歴史的な都市や、戦後の大都市への人口集中で形成された地区など、木造密集市街地が数多く存在し、そのような市街地は災害に対して脆弱です。ここでは、京都市の歴史地区を対象として、火災を想定した防災シミュレーションを行っています。そのシミュレーションは、火災時の延焼性状を防火対策別に示すもの、CFD(Computational Fluid Dynamics)を用いて火災時の煙流動を解析したもの、マルチエージェント(Multi-Agent)を用いて避難行動を予測したものです。

寺地 洋之

市民協働型ワークショップをふまえたリノベーションデザインの実践と考察

 大阪府枚方市にある菅原生涯学習市民センター・菅原図書館の1F空きスペースを、企画設計や施工段階で市民が参加し、市民・運営者・設計者などが協働しながら議論や提案を重ね、空間をリノベーションに導いたプロジェクトである。研究室がワークショップをリードするためのコンセプトや設計案を作成し、それをもとに空間の方向性や運営方針を地域の市民と管理運営者などと一緒になって考える市民協働型ワークショップを複数回行いながらデザインした。参加された市民のみなさんは小学生から高齢者まで幅広く、活発な意見交換がなされた。また、木材を積極的に活用することをふまえ、次代を担う小学生とその家族を林業の集積地である奈良県川上村を訪ねて林業体験なども実施した。施工段階でも小学生たちの木材などに接するセルフビルドも行うことで素材や空間への愛着・大切さを体感できる取り組みも行なった。地域の市民にとって、職場でも学校でもない、新しい学びやつながりが体感できる場づくりを目指して、木材をふんだんに使った「コミュニティスペースMOKU(モク)」を完成に導いた。完成後も協働型は維持され、使用方法なども話し合いながら空間の利用が促進されている。この経験をふまえ、2020年にはセンター内の菅原図書館のエントランス部のリフォームデザインの提案依頼を受け、設計第1研究室が設計を行い施工が完了した。コミュニティスペースMOKU(モク)とあわせてこの空間も市民が気軽に立ち寄れ本に出会える新たな場所を創出している。

本田 昌昭

地域資源の活用による都市・地域更新の手法

 現在、日本は拡大・成長の時代から、縮小・成熟の時代へと突入したと言える。もはや、スクラップ・アンド・ビルドによる都市更新の時代ではない。本研究室では、これからの時代における都市更新の手法について研究を行っている。身の回りに多く蓄積された「建築ストック」の活用を前提とし、さらには、成長の時代に蔑ろにされながらも命脈を保っている「地域性」を発見・増幅することによって、これからの「共同体」のあり方についても研究・提案を行っている。

向出 静司

想定を超える大地震下における鋼構造建物の倒壊余裕度の向上

建築基準法の想定を超える大地震に対して,建築物は耐力を保持できる変形域を超えて耐力劣化し,倒壊する懸念がある.本研究者は,一般的な鋼構造ラーメン骨組を対象に,(1)超大変形域に至るまでの構成部材の破壊実験を通じて,その耐力劣化性状を把握すること,(2)超大変形域の挙動を考慮した建物全体の地震応答解析により,その倒壊性状を把握すること,(3)倒壊メカニズムに基づいた倒壊余裕度の評価方法を提案すること,などを実施している.

寺地 洋之

ものごとの強み弱みと顧客ターゲットに着目したアイデア発想技法

我々が開発した[ニーズデザインメソッド]は「強み・弱みカード」「5x5x2マトリックス」「アレンジカード」「ペルソナシート」の4点を使います。メソッドの進行は大きく2段階に分かれます。まずはものごとの強み・弱みをあきらかにする第1フェーズ、次に第1フェーズであきらかにした強みをさらに強めるアイデア抽出と弱みを反転させて強みに変えるアイデア抽出の第2フェーズです。  KJ法を使った会議などで、無地のカードや付箋を配られて、「思いつくことを書いて」と言われて困ったり、書き出したカードのグルーピングに迷ったことがある人は多いと思います。我々が開発した[ニーズデザインメソッド]は、思考を整理整頓し記述を誘発しやすく、記述漏れがおきないシステムが組み込まれています。そしてアイデア発想が自然に導かれ確実にステップアップするシステムを構築しています。

藤井 伸介

集合住宅リノベーションにおける現代的な住まいの提案

集合住宅においては、時代の変遷や家族構成等の変化により、従来のn L D K型プランから現代の住まいに対応できる空間への再編が必要とされている。更にCOVID-19の影響により、テレワークを行うスペースや趣味を楽しめるスペース等、社会や生活空間に対するイメージが大きく変化し、従来のn L D K型プランとは異なる新しい住まいのあり方に関する提案が求められている。実在する集合住宅1室のリノベーションを行い、現代的な住まいのあり方を提案する(7案)。

本田 昌昭

地域資源の活用による都市・地域更新の手法 2

 現在、日本は拡大・成長の時代から、縮小・成熟の時代へと突入したと言える。もはや、スクラップ・アンド・ビルドによる都市更新の時代ではない。本研究室では、これからの時代における都市更新の手法について研究を行っている。身の回りに多く蓄積された「建築ストック」の活用を前提とし、さらには、成長の時代に蔑ろにされながらも命脈を保っている「地域性」を発見・増幅することによって、これからの「共同体」のあり方についても研究・提案を行っている。

権 淳日

地震から私の家を守ろう!

昔から甚大な地震被害に見舞われた日本では,地震から人命や財産を守るための努力を怠らず続いてきて,現在の耐震技術は世界の最先端となっている。これらを踏まえ,地震により被災した建物を対象として,実験および解析に基づきその損傷量や残存耐震性能を評価する。また,近年の地震被害事例で頻繁に報告されている基礎部分の耐震性能評価に取り組んでいる。

福原 和則

商業建築のファサードにおける工芸材料(信楽焼陶板)の活用

建設の機械化や合理化が進む現在の建設現場では、1990年代を境に職人や技術者による手づくりの仕事が激減している。日本の美意識や工芸技術に裏打ちされた繊細な建築表現は、一部の特殊建築に限定され、いずれは職人が姿を消して、その技術は二度と再現できないことが懸念される。人間の五感に訴える手づくりの風合いを現代後方に取り入れる接合方法を考案して、日本の伝統を感じさせるファサードを構築する。

藤井 伸介

古民家リノベーションによる地域再編に関する提案

古民家が並ぶ景観や古民家そのものが地域の観光資源となり、さらに古民家はカフェや図書館、ゲストハウスとして活用でき、貴重な地域資源と捉えられるようになってきた。今回の提案は、観光業、農業、水産業との一体的な提案により地域の魅力向上と経済の活性化へつながる可能性を探るものである。

朽木 順綱

景観に配慮した祇園祭祭礼時の仮設休憩所のデザイン

毎年7月に催される伝統行事,祇園祭においては,「山」や「鉾」と呼ばれる大型の山車を保有する「山鉾町」の各所で,神事や祭事などの様々な催しが行われる。2017年より本研究室で運営協力を行っている岩戸山町もそのひとつであり,2019年においては,「岩戸山」に隣接し,祇園囃子を演奏する「囃子方」が演奏の幕間に休憩や準備を行う休憩所を木製テントで実現することを設計,設営することとなった。計画にあたっては,規模に見合う主要骨格の設計や,構成部材の選定,搬送,組立手順のみならず,山鉾や京都の伝統的景観だけでなく,駒形提灯や露天などの祭礼独特の空間演出にも調和するよう検討,試作を重ねた。

西應 浩司

人間の視覚行動からみた都市空間の設計基準

建築や都市は生活基盤として、人間に対し大きな心理的影響力を持っています。基本的な人間の移動方法を考えれば、そのデザインは歩行によって我々が得た空間能力に関する研究成果が生かされたものとなるのが理想的だと考えられます。 研究室では、空間能力を司り評価を行う脳機能の左右差や個人差を検討する事から、人間が理解しやすい建築空間、都市空間をつくるための方法を、人間の視覚行動を計測したデータや、脳波計によるデータをもとに探ります。

権 淳日

新型建築構造システムの開発

特定国の文化や環境を考慮した新型建築構造システムの開発に取り組んでいる。例として,地震多発国の中国では震災地域復興の一環として政府側より罹災者に支援住宅を提供してきており,支援住宅の建設には軽量鉄骨構造が良く使われたが,利用者から断熱性や遮音性などに関する苦情があったため,施工性の良い従来の軽量鉄骨構造と断熱性および遮音性に優れた軽量コンクリートを合成した軽量鉄骨軽量コンクリート構造システムを新たに提案した。

福原 和則

イノベーションを誘発するワークプレイスの設計

製品開発を行うワーカーのための新しい環境を構想するにあたっては、単なる「箱モノ」の設計を超えたプロセスを共有することが重要である。場としての環境を設計する行為を会社やチームそのものを構築する行為ととらえ、「デザイン思考」の方法論を取り入れて検討することが重要である。内容の検討に加えてプロセスも合わせてマネージメントすることが求められる。

西野 孝仁

火災を経験したコンクリートの構成則

耐震設計された建物であっても火災を経験すると、設計時に保有していた耐震性能を喪失していることが考えられます。したがって予め、火災の規模と建物損傷度の関係を推定しておく必要があります。火災の規模と建物損傷度の関係は実験により求められますが、数値解析を援用する必要性も生じます。鉄筋コンクリート構造物に対して数値解析を援用する場合、加熱冷却後のコンクリートの構成則が必要となりますので、本研究ではコンクリートの加熱冷却後の構成則を素材実験と弾塑性論に基づいて構築しようとしています。

林 暁光

高力ボルトを用いた鉄骨部材接合部の性能評価

従来の鉄骨構造の接合部設計では、剛接合とピン接合のどちらかで設計されている。本研究は高力ボルトと接合金物を用いた接合部の実態を剛接合でもピン接合でもないグレーゾーンの接合部として捉え、ありのままの姿で半剛半強の接合として検討している。具体的には耐震設計で必要とされている接合部力学性能指標のうち、接合部の初期剛性や耐力、復元力履歴特性およびエネルギー吸収能力の評価精度の向上を目指している。

福原 和則

図面分析による建築設計プロセスの解明

優れた建築を検証する方法は、建築が現存する場合は現地調査が基本であるが、設計図面分析もまた、建築特徴を包括的にとらえるという点において有効である。結果としての設計図面は、作品の特徴を後世に伝えてくれる。一方で検討途中の図面もまた、検討プロセスの記録として重要な価値を持つ。何時、何をどのように検討したか。その解明は作家研究の枠を超えて普遍的な設計方法探求のヒントとなる。

朽木 順綱

主観・客観融合型の共創的VR/ARブラウジングシステムの構築

本研究は,VR/AR空間の閲覧経験を,実在の空間経験へとより近づける試みとして,VR/ARコンテンツを閲覧する際に,これまでのゴーグル等による閉鎖的,主観的視点だけでなく,公開性のある客観的(他者による)視点とを融合させた閲覧システムの構築を試みるものである。具体的には,仮想上に存在する建築物を,それぞれの閲覧端末ごとの視点に合わせて表示内容を変化させるシステムや,ある個人が端末を通して閲覧している内容を他者が共有したり,閲覧しているユーザー全体の位置関係を俯瞰するシステムなどの開発である。