港湾荷役のための小さなAI

情報科学部

データサイエンス学科

学習モデリング研究室

平嶋洋一 准教授

近年,港湾のコンテナ移動を考慮した物流システムの重要性が増している.国際物流上のコンテナは殆どが海上輸送を経由するため,港湾で陸送が可能な輸送手段との間でコンテナの積替えを行う必要がある.積替えには,コンテナの配置や移動順序の複雑な調整を含み,コンテナ取扱数の増加とともに物流のボトルネックとなりつつある.本シーズでは複数の学習モデルを接続可能な強化学習法を提案して港湾の大規模物流問題を解決する.

港湾荷役における「コンテナ」の並べ替え手順の導出法

近年,世界的にコンテナ流通量が増加し、アジア諸国の大型港におけるコンテナ取扱量が大幅に伸びています.港湾面積があまり大きく取れない日本の港が海外大型港に対抗するためには港湾設備のIT化・知能化による物流効率の改善が必要です.

トラックや鉄道など複数の輸送手段で各地から搬入される貨物は、港湾への到着順に蔵置されるため、数百~数千個のコンテナ配置がランダムになっています.

クレーン設備を持たない貨物船内で貨物の並べ替えは困難であるため、ランダムな順序で入荷した数百~数千のコンテナを船積順序に従って、陸上で並び替える必要が生じます.
送付先では上部のコンテナから降ろしていきます.
寄港順に送付先を合わせて上部からコンテナを積んでおくとコンテナの積み下ろし回数を最小化できます.
港湾物流の中で大きな割合を占めており、今後、物流効率改善の鍵を握っているのがコンテナ並べ替えです.
世界の港湾ではコンテナ取扱量が増え続けており、コンテナ荷役に要する時間の割合が高まっています.
日本の港湾ではコンテナ取扱量が伸びておらず、アジア各港に対して相対的に地位が低下しています.
荷役機械であるクレーンによるコンテナ配置の入れ替えは、膨大な組合せの 中から適切な移動手順を見つけつつ、全てのコンテナを移動 する必要があるので、コンテナ取扱量が増加すると、労働時間は 長く、作業員の負担は大きく、作業効率は低下します.

本研究グループでは、小さなAIを提案し,本課題の解決に挑んでいます.

小さなAIが構成するモデルは複数統合することによって拡張され,互いに阻害することなく相乗効果を発揮します.実用化すればコンテナ取扱い数の増加、労働負荷軽減、流通処理速度(顧客サービス)の改善が期待できます.

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