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ホーム光音響法を利用した熱的性質の計測技術の開発
SDGsの分類
研究テーマ
エネルギー・環境ライフサイエンスものづくり・製造技術ナノ・材料
学科の分類
工学部環境工学科

光音響法を利用した熱的性質の計測技術の開発

工学部

環境工学科

熱エネルギー工学研究室

加賀田翔 講師

熱物性非破壊計測in vivo測定

 近年、エネルギーの有効利用がますます重要さを増しています。エネルギーの変換効率の改善や運転効率の向上には伝熱現象の正確な把握が必要です。また工業製品だけでなく人間も体温を保つ為に発熱し、体内で熱移動が起こり、周囲の環境と常に熱の授受を行っています。最近では人体と外部環境との熱の授受を解明し、温熱環境下における人体の快適性を定量的に評価する試みも行われています。あらゆる場面で生じる伝熱現象を正確に把握するには、対象物の熱的性質を定量的に知る事が必要です。当研究室では光熱変換法の1つである光音響法を利用し、非破壊で迅速、かつ簡便な熱的性質の計測技術の開発に取り組んでいます。

光音響法の概要

 対象物の表面を光で周期的に加熱します。すると表面に周期的な温度変化が生じます。それが表面の空気にも伝わることで空気の圧力が周期的に変化して音が発生します。この音を観測することで対象物の熱的性質を測定する事ができます。

 表面から加熱して同じく表面から測定するので対象物を特別に加工する必要がなく、非破壊であるがままの状態で測定することが可能です。また加熱の周期を変化させることで対象物の深さ方向の情報が得られる特徴もあります。

接触熱抵抗の計測

 金属などの固体材料は接触させても表面のミクロな凸凹によって、完全には密着しません。凸凹による接触面積の減少や、熱伝導率の低い空気の介在によって、接触面で熱の流れが阻害される「接触熱抵抗」が生じます。接触熱抵抗は、高発熱化、小型化が進む電子機器や効率向上が求められる空調機器の熱交換部分などで問題となっており、定量的な接触熱抵抗の把握の重要性が高まっています。

 当研究グループでは、光音響法により接触熱抵抗の存在する2 層材料について光音響信号の位相を解析することで接触熱抵抗を捉えることが可能であることを明らかにしました。現在は接触熱抵抗の定量化への取り組みと円筒材料への適用について研究を行っています。

人体皮膚の熱物性値の生体内測定

 皮膚の熱物性値はこれまで様々な方法で測定が試みられてきましたが、いずれも体外での測定であったり、人体への負担が大きかったりと実用的なものはありませんでした。光音響法は対象物をあるがままの状態で測定することができるので人体に対して非侵襲で測定方法も比較的簡便であるため、皮膚の生体内測定に適しています。

 当研究グループでは光音響法を用いた人体皮膚の熱浸透率の生体内測定を行う技術を開発し、個人差や部位による差、また部位による水分率と熱物性値との相関の有無などを確認する事ができました。今後は人体皮膚の熱伝導率、熱拡散率、熱容量の同時測定に関する研究を行っていきます。

論文

「Evaluation of Thermal Contact Resistance Between Two Solid Surfaces Using Photoacoustic Technique 」(2020)KagataKakeru『INTERNATIONAL JOURNAL OF THERMOPHYSICS』41(9)

「光音響法による固体接触面の熱抵抗の測定とその評価 」(2015)加賀田翔『日本機械学会論文集』81(823)

「光音響法を用いた皮膚の熱的性質の測定 」(2008)加賀田翔『Thermal science and engineering』16(3)p.87 - 93.

研究者INFO: 工学部 環境工学科 熱エネルギー工学研究室 加賀田翔 講師

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高山 成

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