製品特性を伝える展示区画のデザイン

ロボティクス&デザイン工学部

空間デザイン学科

インダストリアルデザイン研究室

三浦慎司 講師

印刷・製造機器メーカーの営業所内ショールームの一画において自社製品(UVプリンタ)の展示デザインを計画、設営した。UVプリンタの製品特性をもとにデザイン検討、試作を重ね、来訪者の視覚に加え触覚からの情報により製品の魅力を伝えるデザインとした。展示デザインの変更前後に視線計測を取り入れた検証を行い、視覚から触覚体験に促すデザイン計画の達成を確認した。

UVプリント技術は①「印刷対象となる素材の多様さ」、②「透明UV硬化樹脂の厚盛で生まれる質感や立体感による意匠性」にその特徴がある。UVプリンタのショールーム展示を検討するにあたり、この製品特性を来訪者に伝えるため、製品で印刷されたサンプル品により触れられるデザインとなることを目指し、視覚だけでなく触覚を含めて製品特性を伝える展示デザインを計画した。

見かけの上ではパブリックドメインとなっている有名浮世絵の印刷を施し、その上に透明なUV硬化樹脂の厚盛による文様やテクスチャの印刷を行うことで、絵そのものに対する新規性を弱めながら絵と関連付いた触覚体験を企図し、一部領域には印刷素材が直接見える破けた領域を設けることで素材の多様さを伝えるデザインとした。展示全体の一覧性や触覚体験の呈示数を多くとるため、壁面ターポリンを利用した垂直展示としている。

製品展示デザイン変更の前後に視線計測装置を装着した学生被験者による検証調査を行い、変更の前後で印刷サンプルに触れる回数が増加したことが確認され、触れることを促すという目標のデザインとなったことを確かめた。今後は、今回の展示で用いた印刷サンプルでの触感表現の可能性を探る試みとして、印刷対象素材とUVテクスチャの膨大な組み合わせの中からUVプリント技術による新しい表現を探りたい。

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