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研究テーマ
ライフサイエンス
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工学部応用化学科

イオン選択性電極 認識化合物 および イオン感応膜の開発

工学部

応用化学科

認識化学・物性解析研究室

森内隆代 教授

 金属イオンは、生体内で、水分調整や代謝などに大きく関与しています。当研究室では、社会の求める実用センサーを目指し、「目的のイオンを識別する認識化合物」を設計・合成しています。  そして、実際に用いられているイオン選択性電極としての性能評価や、センサー部となるイオン感応膜の開発を行っています。

 イオン選択性電極(ion-selective electrode)ISEとは、混合溶液中の特定イオンのみに感応し,そのイオン活量に対応した電位を発生させる電気センサである. 応答が迅速で取り扱いが容易なため,環境・臨床分野において多様されている.例えば,臨床検査用の生化学自動分析装置の中にも,ISEが組み込まれている.そのため,実用的な化学センサーとしてより迅速かつ安定した電位とより高いイオン選択性が社会ニーズとなっている.ISEは電極膜でイオンを感知しており,ごく少量のイオン感応物質が含有されている.高いイオン選択性のためには,イオン認識化合物の開発が必須である.本研究では,より高い識別能を有するイオン認識化合物の創製,および,より性能の良いイオン感応膜の開発を行っている.

 例えば,半経験的手法という比較的簡便な分子軌道計算を行い,12-クラウンー4 の安定化構造が イオン包接の最適構造となっていないこと,そして、同じ環サイズでも酸素数の違う 12-クラウンー3 の方がイオン包接に適していることを見出している.さらに導入置換基をアレンジすることにより,最大妨害イオン(リチウム)との識別能を格段に向上させたNa+イオン選択性電極の開発に成功している.

 現在は,小型化を目指し,カード型ISEやISFETの開発に取り組んでいる.

論文

「Proton spin relaxation study with pulsed NMR on the plasticization of Na+ ion-selective electrode membranes prepared from PVCs with different degrees of polymerization」(2020)森内隆代『Analyst』Vol.145 (No.11)p.3832 - 3838.

「Ionophoric Properties of [14]Tetraazaannulene Derivatives and Substituent Effect on the Cation-selectivity」(2017)森内隆代『Electroanalysis』Vol. 29 (No. 7)p.1712–1720.

「Conformational analysis of 12-crown-3 and sodium ion selectivity of electrodes based on bis(12-crown-3) derivatives with malonate spacers」(2003)森内隆代『Analytica Chimica Acta』480p.291-298.

特許

特願2003- 429141特開2005-187369「イオン感応物質およびそれを用いる方法」

特願2002-134654特許第4111742号特開2003-327597「アザアヌーレン誘導体からなるイオノフォア、感応膜、およびそれを用いたイオンセンサ」

特願2001-352192特許第352192号「液晶分散型簡易イオン選択性電極センサならびにそれを用いた素子」

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