0 発話理解の奥深さ 私たちはことばをどのように理解しているのか。家に招いた客人に「暑いね」と言われたとしよう。「そうだね」と同意するだけでもよいが、たいてい「冷たいもの飲む?」や「エアコンつけようか?」などと返答するだろう。これは、相手が発した発話を「この部屋は暑い」と理解し、「冷たいものを飲む」ことや「エアコンで涼しくしてほしい」という要望であることを推論するからである。発話という断片的な情報から、私たちはどのように相手の真意をつかむのだろうか。