SDGsの分類 - 13. 気候変動に具体的な対策を

9件の研究シーズが見つかりました

小川 芳也

橋脚の安定性確保と植生が繫茂した陸生化砂州の保全の両立に向けた研究

 河川は、水道水の源泉であるだけでなく食資源の産地でもあり私たちの生活に密接に関係しています。そのため、河川整備は人と動植物が共存共栄する関係が求められています。近年の大雨では、人々の利便性に役立つ橋梁の橋脚が局所洗堀によって沈下や傾斜する事例が発生しており、その上流側には動植物の生息場である植生が繁茂した陸生化砂州が低水路のかなりの部分を占めていることが多いです。そこで、人々と動植物が共存共栄できる関係を目指して研究に取り組んでいます。

藤井 彰彦

一軸掃引塗布プロセスによる太陽電池用ペロブスカイト薄膜の作製

近年太陽電池材料として有望視されている有機無機ハライドペロブスカイトの塗布製膜性に着目し、基板上に直接単結晶薄膜を作製する塗布プロセス技術を検討し、高い光電変換効率を示す太陽電池の開発を行っています。従来製膜法と比較すると、結晶粒径が100倍の100 μmの結晶が育成し、キャリア輸送に有利な結晶軸を面外方向に配向させることができ、太陽電池のエネルギー変換効率と安定性の改善に貢献しています。

河村 耕史

藻類バイオ燃料の実現に資する生物資源の収集と培養・育種技術

バイオ燃料化が期待される微細藻類の1種(ボトリオコッカス: Botryococcus braunii)の遺伝資源を国内外から収集し、高密度培養法、突然変異育種法などの技術を開発している。これまで、日本各地の湖沼とインドネシアのカリマンタン島内の熱帯泥炭湿地や湖沼を中心に500株あまりの野生株を収集し、これまでの増殖速度の最速値を更新する新しい高増殖株を発見した。

和田 英男

温暖化防止対策のためのスマートウィンドウ開発

 地球温暖化による気候変動を解決するためには、熱エネルギーを効率的に使用して物質から放出される排熱を抑制することが重要です。二酸化バナジウム(VO2)は温度変化が生じることで、熱的に誘発された相転移によって近赤外域の光学特性の急激な変化を引き起こします。このため、可逆的に低温透明状態から高温不透明状態へ移行して自動的に太陽熱流束を調整することができます。本プロジェクトでは、有機金属分解法(MOD)を用いてナノスケール多孔質モスアイ構造を有するVO2薄膜を汎用ガラスに成膜することにより、サーモクロミックガラスを作製しています。また、高原子価カチオン元素を用いた置換ドーピングによる相転移温度の低温化を図り、環境温度に適応できるスマートウィンドウの開発を目指しています。

東 良慶

流域治水の思想を踏まえた次世代型水害対策への挑戦

これまでの流域の開発は、過去の災害の実績にもとづき、計画規模を設定し,鋭意実施してきました。しかし近年、地球温暖化に伴う気象・水象イベントが極端化し、水災害が激甚化していると考えられています。このことから、上述の計画規模を超過する水害が頻発しており、現状の災害対策では対応できず、私たちが暮らす“まち”を守れない時代に突入しています。 これからの我が国は、水害の発生を許容できる粘り強い“まち”が求められます。本研究では水害特性を過去から読み解き、将来を高精度に予測し、その変化に適した“まちづくり”を考究し、提案します。

河村 耕史

排CO2ゼロのバイオエネルギー生産システム

再生可能でかつ低炭素社会の実現に貢献する次世代エネルギー生産システムの構築は急務の課題である。これまで、微生物の代謝活動(光合成、発酵、電子伝達)を利用したバイオ燃料の生産技術が個々に追求されてきたが、未だ実用化が難しいものが多い。本研究は、これまで個別に研究開発されてきたバイオ燃料生産システムを統合することで、物質の循環利用構造を構築し、エネルギー変換効率を飛躍的に高めることを目的とした研究と技術開発を行っている。

吉田 恵一郎

誘電体に生成した不均一電場によるススの捕集とプラズマによる分解

自動車や船舶に搭載されているエンジン排ガスに含まれる「スス」を除去するには,多孔質セラミックのフィルタが用いらせますが,ススの蓄積とともに圧力損失が上昇します.  一方,静電集じん技術は,帯電させた微粒子を静電引力で気流から取り除くため圧力損失が極めて低いものの,導電性の高いすすの場合,再飛散しやすいという問題があります.  本申請技術は,コレクター部に誘電体を用いることで,フィルタレスで高効率に集塵を行い,同時に,誘電体上で低温プラズマによって酸化分解まで行うことが可能です.

山浦 真一

圧電素子を用いた音響振動発電機の試作

自動車や電車、飛行機、工事現場など、我々の周囲は様々な音で溢れています。音もエネルギーを持っていますが、そのエネルギー密度はとても低いため、現状では回収できずに捨てられているのが現状です。本研究では、市販のPZT圧電素子とヘルムホルツ型共振器を用いて音響振動発電機を試作しました。音の周波数550Hzで共振するように設計・試作したところ、550Hzと425Hzで発生電圧が高まりました。120dBの音(すごくうるさい)を聞かせたところ、最大で0.8mWの電力を発生できました。今後はより小さい音でより大きな発電力が得られるように改良していきたいと思っています。