研究テーマの分類 - 自然科学

23件の研究シーズが見つかりました

村田 理尚

熱電発電に必要な高性能 n 型熱電フィルムを開発

未利用の排熱から発電する熱電発電技術に関して、大気安定な塗布膜としてはこれまでで最も高い性能をもつ有機系n型熱電フィルムの開発に成功しました。n型半導体の材料の水分散液にエチレングリコールを添加剤として加える独自の環境調和型の手法を開発しました。多様な形状に貼り付けて利用する柔らかい熱電変換素子としてIoT社会への貢献が期待されます。

東 良慶

流域治水の思想を踏まえた次世代型水害対策への挑戦

これまでの流域の開発は、過去の災害の実績にもとづき、計画規模を設定し,鋭意実施してきました。しかし近年、地球温暖化に伴う気象・水象イベントが極端化し、水災害が激甚化していると考えられています。このことから、上述の計画規模を超過する水害が頻発しており、現状の災害対策では対応できず、私たちが暮らす“まち”を守れない時代に突入しています。 これからの我が国は、水害の発生を許容できる粘り強い“まち”が求められます。本研究では水害特性を過去から読み解き、将来を高精度に予測し、その変化に適した“まちづくり”を考究し、提案します。

安達 照

新しいテクノロジーを使った物理実験開発と物理教育への応用

 身近に使われるようになったスマートフォン(スマホ)や最新のセンサー技術を使用することで、物理概念を構築するために効果的な新しい物理実験開発、新しい活用方法等を提供してきた。今回は、新しいテクノロジーをつあった1例として、スマホに接続した超音波センサーを用いた実験例を紹介する。任意の動きが可能な自動制御された鉄道模型を超音波センサーで測定することにより、速度や加速度の学習に効果的に活用できる。本学習システムは、大学教育の向上だけでなく、中学や高校での物理教育にも貢献することを目的としている。

長谷川 尊之

フェムト秒レーザで励起される超高速過渡現象の解明とテラヘルツ波放射の制御

半導体表面にフェムト秒レーザーを照射すると、サブピコ秒領域において電子や原子の様々な過渡現象が励起されます。過渡現象はテラヘルツ波放射や誘電率変調など多様な応答をもたらすことから、光機能デバイスへの応用の観点から注目を集めています。本研究室では、過渡現象と関連のある半導体表面状態を変化させる方法を開発し、さらに、独自の分光システムを整備することで、過渡現象ダイナミクスの解明とテラヘルツ波放射の制御を目指しています。

藤元 章

「人類の危機への挑戦」をテーマにした課題解決型授業

[概要] 大阪工業大学の工学部では,PBL(ProblemあるいはProject-Based Learning)を基軸とした教育カリキュラムを実施しています。1年次では各学科の専門分野に関連した課題の実験・実習的なPBLを行い,2年次生には物理学,地球科学,生物科学の分野横断型PBLを提供しています。2015年度から2018年度まで「火星移住計画」を題材にして, 2019年度から2022年度まで「太陽系ツアー」を題材にして進めてきました。そして, 2023年度からは,惑星・宇宙の枠を飛び出して,「人類への危機への挑戦」をテーマにしたPBL型授業を進めています。

村岡 雅弘

超分子を用いる光学活性分子の高効率センシング

キラル化合物を選択的に合成する触媒的不斉合成では,高価なキラル源や金属を利用したり,多段階の精密な合成手法と精製方法を駆使するなどの問題点がありました。そこで本研究では,構造がシンプルで簡単に合成できる輪状分子と軸状分子を適切に組み合わせることで得られる「機械結合性面不斉キラルインターロック超分子」に着目し,光学活性分子を高効率で合成する手法を開発しています。これまでに、このインターロック超分子の一つであるロタキサンを新たに合成し,特徴的な動的挙動や3次元構造を有効利用して、分子シャトル性能を評価しました。

中西 真悟

標準正規分布の幾何学的対称性

連続な確率変数の確率密度関数の積分形は、0から1までで評価できる累積分布関数です。では、累積分布関数を積分するとき、積分形の関数の一階の導関数は、累積確率として0から1までの傾きになります。つまり、直角三角形を用いた三平方の定理による評価が可能になります。そこで、標準正規分布の幾何学的対称性を応用しながら三平方の定理を用いてみると、新たな確率評価基準が思考できます。

濵田 悦生

新型コロナウイルスにおけるオープンデータの教育的利用

厚生労働省が提供する新型コロナウイルス感染症に関するデータはオープンデータである。このデータは全国で収集された、PCR検査数、PCR陽性者数、重症者数、死亡者数などを含むが、簡単なモデルを適用することによって、学部3年生向けのPBL教材で使うことの出来そうな実例を作成することが見込まれる。学生にとっても非常に身近なデータであり、その教育的効果は高いであろう。

吉田 福蔵

教育センター実施の基礎学力調査により「分析できた新入生学力」

18歳人口が減少する中, いろいろな入試区分で入学した新入生の基礎学力を分析・把握することは, 大学の役割である. 大阪工業大学の工学部の8学科では, 1年次に物理を履修することが推奨されているため, 教育センターでは高校3年間の学びで培った数学と物理の力を, 入学時の基礎学力として調査する目的で「新入生学力確認テスト」を実施している. 現在は, 新入生学力確認テストを多角的に分析し, これを大学全学科の情報として共有することの重要性を認識し, 教育センターから発信している.

小島 夏彦

渦鞭毛藻シスト(休眠胞子)を中心としたパリノモルフ群集の研究

 沿岸海洋表層堆積物には無数の生物起源物質が含まれているが,その中で単細胞の藻類である渦鞭毛藻はその休眠胞子(シスト)を堆積物中に残すことがある.そのため,堆積物中からそれらを抽出,分析することにより赤潮・貝毒予測をはじめ様々な情報を引き出せる.また,その堆積物から同時に産出するパリノモルフと呼ばれる多様な有機質の生物遺骸群集の存在も注目される.渦鞭毛藻シスト研究から派生的に生まれた分野とも言え,未解明の部分も多いが将来的には環境解析のツールとして利用できる可能性を秘めている.

小川 芳也

橋脚の安定性確保と植生が繫茂した陸生化砂州の保全の両立に向けた研究

 河川は、水道水の源泉であるだけでなく食資源の産地でもあり私たちの生活に密接に関係しています。そのため、河川整備は人と動植物が共存共栄する関係が求められています。近年の大雨では、人々の利便性に役立つ橋梁の橋脚が局所洗堀によって沈下や傾斜する事例が発生しており、その上流側には動植物の生息場である植生が繁茂した陸生化砂州が低水路のかなりの部分を占めていることが多いです。そこで、人々と動植物が共存共栄できる関係を目指して研究に取り組んでいます。

門内 晶彦

クォークグルーオンプラズマから探る数兆度の世界

物質を形作る最小構成要素であるクォークやグルーオンなどの素粒子は、通常は原子核中の陽子や中性子などのハドロンと呼ばれる粒子内部に閉じ込められています。一方約2兆度以上の超高温になるとクォークグルーオンプラズマ(QGP)と呼ばれる素粒子のプラズマ状態になると考えられています。QGPはビッグバン直後の初期宇宙を満たしていたとされますが、高エネルギー原子核衝突による実験的な生成が可能です。モデル構築、解析計算、数値シミュレーションなどを通じてQGPの物理を理論的に研究しています。

真貝 寿明

宇宙物理学・相対性理論研究+文理協働研究+科学のアウトリーチ活動

アインシュタインが相対性理論を提唱して100年が経ち,技術が進化して,ようやく重力波・ブラックホールの直接観測ができる時代になりました.日本の重力波観測プロジェクトKAGRA(かぐら)の科学研究者代表を2017年から21年まで務め,一般向けの著作や講演も多く請け負っている教員が,この分野の解説を提供いたします.「相対性理論はどこまで正しいのか」「宇宙への理解は今後どう深まっていくのか」などをテーマに,歴史的・科学的どちらの視点からも可能です.

中西 真悟

直角三角形が活躍する正弦波螺旋と等角螺旋の関係や、パスカルの蝸牛形の考察

英語版のWikipediaによると、マクローリンが見つけた正弦波螺旋は螺旋と名付けられているが、螺旋とは関連がないものとして知られていたようです。しかし、等角螺旋の性質を調べると等角螺旋に関連する直角三角形を用いることにより説明できることがわかりました。同様にその関連する直角三角形がある時点で反転させるときにもパスカルの蝸牛形の幾何学的特徴が説明できました。本研究で紹介する画像を見ながらその様子を楽しんでください。

谷 保孝

古第三紀神戸層群凝灰岩層の層序学的・記載岩石学的研究

 本研究では,兵庫県三田盆地に分布する神戸層群凝灰岩層をより精密に区分し,それらの凝灰岩層の記載岩石学的性質を明らかにする.野外調査では凝灰岩層の岩相や分布を,鏡下観察では凝灰岩層の軽石斑晶鉱物の組み合わせを記載する.必要に応じて黒雲母などの化学組成も測定する.また,本研究による凝灰岩層序区分に基づいた地質図の作成も進める.本研究の成果は,神戸層群分布域で発生する地すべりに関する課題などを考察する上でも重要な役割を果たすことが期待される.

中村 友浩

3次元培養筋”OITem”の開発と評価

我々の研究グループでは、長期的な培養が可能で成熟度が高く、機能評価が簡便に実施できるマウス由来骨格筋オルガノイド作成に成功し、大阪工業大学独自のモデルとして3次元培養筋OITem (Osaka Institute of Technology:Tissue engineered muscle) と命名した。この骨格筋オルガノイドは、平面培養と異なり、細胞配向性が高く、形態的にも生体筋と類似していることが明らかとなっている。培養中に自己組織化によって生じる受動的張力を解放し、機械的除負荷を行うと生体筋の廃用性筋萎縮に類似した表現型が生じる。また、培養デバイスを汎用的な電気刺激装置が使用できるように最適化し、生体筋の収縮様式と類似した短縮性収縮を誘導したり、収縮機能を評価することも可能である。この生体外デバイスを利用し、生体筋収縮を模倣することが可能であれば、運動効果を検証する動物代替モデルとして活用できるだけで無く、高齢化に伴う筋力低下を予防できる栄養素材の開発やALS、重症筋無力症などの難病疾患の創薬等、幅広い領域で社会実装可能な基盤技術として期待できる。

中西 真悟

貴金属比の類似比が奏でる数理情報デザイン

黄金比とピタゴラスの定理を魅了させるケプラー三角形に、一般化されたフィボナッチ数列を応用した新たな貴金属比の類似比の魅力を提案しました。発表後に定義式には第2類似比がカッパー比、第3類似比がニッケル比と1990年代後半に命名されていたことがわかったのですが、命名者も際立った数学的・芸術的魅力は言及しませんでした。一方で、従来の貴金属比の第4貴金属比にもカッパー比、第5貴金属比にもニッケル比が記載されることがあり、名称の由来や情報とその信憑性に確信を持てませんでした。したがって、発表時のコンセプトの通りに従来の第2貴金属比である白銀比、第3貴金属比である青銅比を基準に対比しながら今回の発表を公開して、ご閲覧いただく皆様のご意見を聴くことにしました。科学・技術ならびに芸術の世界に役立つ発展に繋がれば嬉しいです。ところで、白銀比に必要な直角二等辺三角形と、ペル数列の代わりにヤコブスタール数列を活用した貴金属比の類似比には、従来の貴金属比とは導出こそ異なるけれども、とても美しい数理と芸術の可能性が隠されていました。貴金属比の類似比の幾何学的特徴を調べながら、有名な数学者の功績を加えて調和させていくと、その美に魅せられます。下記は、提案から1年間の成果のギャラリーです。ご堪能ください。

野澤 真人

一般相対性理論の数理構造の解明

Einstein の提唱した一般相対性理論は、Newtonの万有引力では謎であった多くの現象を説明することに成功し、最も予言能力の高い重力の理論としての地位を確立しています。さらに宇宙自身の膨張やブラックホールといった天体など、私たちの宇宙観に大きなパラダイムシフトをもたらしました。 このように大きな成功を収めた一般相対性理論ですが、私がこの理論に惹かれる理由は、何と言ってもその数理的な美しさにあります。時空の安定性を保証する正質量定理やブラックホールの唯一性定理の見事な証明は、その端的な例でしょう。これらをさらに一般化して、より汎用的な形式にするための研究を進めています。

中西 真悟

ニュートンの二項定理を活用した修正パスカルの三角形の考案

ニュートンの二項定理では、負のべき乗を級数として表現できます。これがパスカルの三角形に活用できることは意外と知られていません。本研究ではフィボナッチ数列とリュカ数列の表現に、この発想が欠かせないことを可視化するとともに、この両数列に関連する数列を修正パスカル三角形が見事に表現してくれることを紹介します。下記に示す修正された三角形をご覧いただきこの考え方のアルゴリズムって美しいなって感動してもらえたら光栄です。

鎌野 健

大野関数の解析的性質について

画像の関数を大野関数といい,互いに双対なインデックスに対する大野関数は,複素関数として等しいことが知られている.特に0以上の整数点での値を考えると多重ゼータ値の理論における大野関係式が導かれるため,それは大野関係式を補完したものであるといえる.本研究では,大野関数が積分表示を持つことを示し,それにより大野関係式の補間の別証明を与えた.