SDGsの分類 研究テーマ ナノ・材料学科の分類 工学部電気電子システム工学科ナノ材料マイクロデバイス研究センター 未来の生活を変える新機能デバイスの開発 ―透明できらきらする酸化物半導体を電子デバイスに応用する― 工学部 電気電子システム工学科 新機能複合材料デバイス研究室 前元利彦 教授 共同研究者 佐々誠彦 小山政俊 和田英男 フレキシブルエナジーハーべスティング酸化物半導体 今まで半導体として利用されてきたシリコンに比べて異なる性質のもつ半導体や、透明でしなやかな材料を研究することで、新しい機能を持った素子の実現を目指します。たとえば、酸化物半導体に関する研究では透明なディスプレイ・情報端末を実現するための技術や、自在に曲げられるデバイス・センサに関する研究を進めています。これらの技術は未来の生活の利便性を大幅に高めます。エナジーハーベスティングフレキシブルデバイス(1)―使われずに捨てられているエネルギーを集めて電気ができる!?―電波を用いた高周波タグのデータを非接触で読み書きする RFID(Radio frequency identifier)システムや、マイクロ波を直流電流に整流変換するアンテナであるレクテナ(Rectifying antenna)への利用が可能。無線LANのような微弱電波やマイクロ波エネルギーを高効率で電流に常時変換できるエナジーハーベスティング回路への応用を目指しています。 エナジーハーベスティング フレキシブルデバイス(2) ―薄くて柔らかい透明半導体デバイスが現実のものになる!―酸化物半導体を用いたプレーナタイプの完全透明ダイオードおよびフレキシブルダイオードの開発に成功。柔らかいフィルム素材の上に電子部品を形成する技術は新しいセンシング技術やウエラブルセンサなど、人間が身につけて生体情報を計測する技術への応用が期待できます。 超フレキシブル酸化物薄膜トランジスタ(1) ―曲がる!薄い!驚異のディスプレイや高機能薄膜センサが誕生する?―曲率半径3mmまで曲げることができ、繰り返し曲げても絶えられる酸化物薄膜トランジスタの開発に成功しました。曲げ試験結果から、ZnOは柔軟で粘り強い性質を持っていることが明らかになりました。伸縮性、順応性、柔軟性を持つフレキシブル基材の柔軟性と印刷された低コストなデバイスを組み合わせて、新しいカテゴリーのエレクトロニクスを創出できます。 超フレキシブル酸化物薄膜トランジスタ(2) ―ペーパー状のディスプレイを丸めて持ち歩ける!?―2端子素子において、基板の厚さを25μmと薄くすることで、酸化物材料であっても特性劣化のない素子を実現。構造最適化されたTFT構造では、実用レベルである6桁のon/off比を可能にするとともに、繰り返し耐性を持つ酸化物TFTを実現しました。基板の厚さを、さらに薄くすることによって曲率半径3mm程度までであれば、安定的に動作。また、繰り返し測定の結果から100回程度の曲げに対して耐性を確認するができました。現在は、酸化物薄膜の新たなフレキシブルデバイスの応用を目指して1000回、1万回の耐久試験を実施しています。 溶液プロセス積層膜薄膜トランジスタ ―シンプルなプロセスで表示デバイスがさらに進化する!―酸化物半導体はアモルファス相での高い電子移動度、高い透明度、低いリーク電流、様々な製造プロセスへの高い適応性が挙げられます。中でも溶液プロセスは、非真空プロセスのため低コストでかつ大面積のデバイス形成が可能です。溶液法によるAZO前駆体溶液を用いた積層構造のTFTの作製と諸特性の評価を行ったところ、ZnO/AZO積層構造において顕著な抵抗減少とTFTの特性改善が見られました。今後、積層構造の構造最適化を進めることで、従来のTFTの性能を大きく上回るTFTの実現が見込まれます。 ナノインプリント法による酸化物薄膜ダイレクトパターニング ―より正確で精密なダイレクトプリントの実現へ!―COP(シクロオレフィンポリマー)のレプリカモールドを用いた熱ナノインプリント法と前駆体溶液を組み合わせたZnO系薄膜のパターニングを実現。さらに、デューティ比1:1のパターンを用いて、1μmのパターンまでのダイレクトパターニングが可能であることを実証しました。石英モールド、COPモールド、酸化物薄膜については、ライン長とスペース長において、ほぼ設計通りにプリントされていることが分かりました。 研究者INFO: 工学部 電気電子システム工学科 新機能複合材料デバイス研究室 前元利彦 教授 研究シーズ・教員に対しての問合せや相談事項はこちら 技術相談申込フォーム
向出 静司想定を超える大地震下における鋼構造建物の倒壊余裕度の向上 建築基準法の想定を超える大地震に対して,建築物は耐力を保持できる変形域を超えて耐力劣化し,倒壊する懸念がある.本研究者は,一般的な鋼構造ラーメン骨組を対象に,(1)超大変形域に至るまでの構成部材の破壊実験を通じて,その耐力劣化性状を把握すること,(2)超大変形域の挙動を考慮した建物全体の地震応答解析により,その倒壊性状を把握すること,(3)倒壊メカニズムに基づいた倒壊余裕度の評価方法を提案すること,などを実施している.
鎌倉 良成シミュレーションによる半導体デバイスの解析・設計支援技術 [概要] コンピュータシミュレーションを用いて、半導体素子の特性を解析する研究を行っています。ナノ~マイクロメートルスケールにおける電子や原子、あるいは熱の挙動を独自開発した粒子シミュレータで高精度に予測し、より高性能で信頼性の高い半導体素子設計に役立てることを目指しています。
石道 峰典生体の筋機能の改善に向けたアクアポリン4による水分代謝の制御法の開発 骨格筋は水分含有量が約8割であり、水分を豊富に含んだ組織です。骨格筋を構成する筋線維(筋細胞)でのスムーズな水分代謝により筋の恒常性が保たれることから、骨格筋における水分代謝を制御する水分子輸送機構は、健康的で活動的な日常生活を維持するうえでも非常に重要となります。 現在、本研究室では、骨格筋における筋機能の維持・改善やサルコペニア予防など目的に応じた水分代謝の制御を実現するために、水分子輸送機構の主要タンパク質の1つであるアクアポリン4 (AQP4)の生理学的特性の利用法の開発を目指しています。
西川 出デジタル画像相関法によるき裂・欠陥の非破壊検査 負荷を受ける部材の表面画像を2枚(時間差1秒程で2枚撮影する)利用して、表面のひずみ分布を非接触で評価するデジタル画像相関法援用変位・ひずみ評価システムを構築した。さらにこれを発展させ、き裂や欠陥に生じる特有のひずみ場を利用することにより、き裂・欠陥の有無は言うに及ばず、き裂周りの応力や応力拡大係数といった力学量を高精度に非接触評価できるシステムを開発した。
小池 一歩絹フィブロインで酵素を固定化した拡張ゲート型バイオセンサー 市販MOSFETのゲート端子に絹フィブロインで酵素を包括固定した電極を接続した拡張ゲートFET型バイオセンサーを開発しています。体液に含まれる様々な健康指標マーカを長時間連続モニタリングできれば、病気の予防や早期発見に役立てることが可能です。これまで、拡張ゲート表面に生体適合の絹フィブロインを用いてグルコース酸化酵素を包括固定したところ、以下の結果が得られています。固定化する酵素の種類を選ぶことで検出対象を変えることができるため、本研究のセンサー構成や酵素固定化技術は汎用性が高いといえます。 ①センサーの性能が一ヶ月以上保たれた。 ②繰り返し、かつ、連続動作が可能であった。 ③血中に含まれるグルコースよりも二桁低い濃度(尿や唾液に含まれるグルコースのレベルに対応)を検出可能であった。 ④酵素膜に対してアルコール殺菌や60℃低温殺菌が可能であった。
橋本 智昭融液内対流のモデル予測制御 融液内対流を制御する手法としては,るつぼの回転速度の調整,るつぼ側面の温度調整,磁場の印加などが制御入力の候補として考えられる.融液の対流現象を表現するための基礎方程式として,融液を非圧縮性流体と仮定すると,質量保存則から導かれる連続の式,運動量保存則から導かれるNavier-Stokes方程式,温度の拡散現象を表すエネルギー式,濃度の拡散現象を表す物質拡散方程式が挙げられる.これらの基礎方程式で記述される熱流体システムに対して,モデル予測制御系設計法が確立されている.
小谷 直樹強化学習を用いたロボットの知能化 近年,人工知能・機械学習技術の発展もあり,これらの知能化技術をロボットの環境適応能力や自律性の付与の手段として用いることが期待されています.しかし,強化学習を含む機械学習は,一般的に多くの学習時間を必要とする根本的な問題を抱えています.従って,学習時間を短縮することが,実時間で学習する実ロボットにとって,特に解決すべき重要な課題です.私達は,遺伝的アルゴリズムの概念で説明した学習高速化手法を開発し,より高度なロボットの知能化の実現を目指しています.
酒澤 茂之学習済みディープニューラルネットワークモデルの権利保護に関する研究 学習済みディープニューラルネットワーク(DNN)モデルの権利保護のために、電子透かしをモデル内へ埋め込む技術が注目されている。本研究では、画像分類型DNNモデルを対象とし、その内部パラメータは観測できず、入力画像と出力ラベル値のみが観測できる場合でも、そのDNNモデルを学習させた著作権者の情報を視覚的に取り出すことを実現する。
眞銅 雅子プラズマ照射による植物の成長促進と機能性改善 近年の食の安全性への関心や、健康志向による機能性食品の需要増に応えるため、薬品を使用しない殺菌・消毒処理および農産物の持つ機能性の改善が望まれています。一方で、半導体産業等で使用されるプラズマは電子・イオンに加え化学的活性の高い粒子(活性種)を多量に含み、農業・医療分野においても幅広い用途が見込まれます。本研究では、植物種子等の生体表面にプラズマ照射を行うことで、種子表面の殺菌や、成長の促進、鮮度保持、機能性の向上等を目指しています。
田中 一成空間の「ゆがみ」と避難経路 都市居住者の認知空間を取り出し,居住者が認知するまちの姿と現実空間の差違を明らかにすることで,都市空間における「ゆがみ」を抽出することを目的としています。最終的には,このゆがみをもとに,災害時の避難経路と避難場所の設定手法を提案することを目標とします。早く着きたいと思いながら避難しつつなかなか進まない経路と,よく知っていて好きな道であっという間に着く経路がある可能性があり,広く,安全なというイメージも合わせて日常的に接する形成されている可能性をみいだしました。
大谷 真弓「その人らしさ」の表現を目指す 人の「その人らしさ」は、様々な形で表現されます。摂食障害等のこころの病は、その人の「生きづらさの表現」だという視点でも捉えられますが、他方で、芸術活動にその人の表現を載せることで、そこに表われてくるものを、「生きづらさの表現」としてではなく、まさに「その人らしさ」が表われているのだ、という視点から捉えることも可能です。本研究では、「その人らしさ」が芸術活動(本研究では陶芸活動)の中で表現されているという視点から、陶芸活動を視ています。その上で、「その人らしさ」がいかに表われてくるのか、いかに変化していくのかを追い、どのような表現をすることが「生きづらさ」からの脱却へとつながるのか明らかにし、実践につなげます。
神納 貴生X線画像による非破壊検査に向けた微弱特徴の可視化 社会インフラを支える工業製品など,簡単に停止して点検できないものは多く,それらは非破壊検査によって点検される.非破壊検査の一つとして,X線画像を用いた検査が挙げられる.X線は物体の透過率の違いにより内部構造を写し出せるが,X線が透過し難い金属などで覆われている場合,映し出せる内部構造の像は薄くはっきりとしないものとなる.これまで個別の工業製品に対するX線画像検査は熟練工の目視技術によって成り立っていたが,本技術は熟練工が確認する特徴を可視化して誰もが頑健に検査できるようにする.
小西 将人実行不要な命令を動的に排除する効率的なプロセッサ プロセッサの命令実行の効率性を妨げる要因の1つとして,ロード命令の実行にかかる時間が大きいことが挙げられる。この研究の目的は,不要なロード命令の一部を動的に排除(スキップ)するようなプロセッサの構成を提案し,命令実行の効率性をあげようとするものである。予備評価によりおおよそ15%程度のロード命令がスキップできる可能性があり、プロセッサ全体の性能を向上させることが期待できる。
大島 一能IoTとAIを活用したネットワークデザイン手法 情報通信ネットワーク研究室では、IoTネットワーク技術や機械学習、AIを活用したネットワークデザイン手法の研究に取組んでいます。本サイトでは次の各テーマの概要を説明させて頂きます。 (1) 深層学習を活用した屋内位置検出: GPSなどの電波受信が難しい屋内で位置情報を利用するサービスの需要が拡大しています。BLE の電波強度(RSSI)を深層学習により分析して位置検出を行う手法を研究しています。 (2) AIを活用した局地的豪雨予測方式: 降雨観測レーダや雲画像等の気象データを活用した局地的豪雨の予測方式を研究しています。 (3) その他の研究課題: IoT と AI を活用したドローン自律制御方式や可視光LED通信の応用システム等も進めています。
小林 弘一壁の向こうに何がある?! 一つ目は電波の透過性に関する研究です。医療機関におけるX線CTとかMRIで想像できるように、電磁波は誘電体内を通過します。この性質から、建物内の様子を画像化する近距離レーダが考えられます。セキュリティ用の壁透過レーダ、水道管、ガス管、地雷などの地中埋設物探知レーダ、空港での危険物検知用レーダなどに応用できます。このレーダは一つ使い勝手の悪いところがあり、画像を作るために、送受信アンテナを規則的に走査する必要があります。そこで、オペレータがアンテナを自由に移動させても画像が得られる処理法を考案し確認中です(図1)。
吉田 福蔵熱刺激電流からのトラップの分布状態可視化による信号の分離解析 電気・電子デバイス素子の改善・高性能化にあたり, 電気伝導に影響を与える材料内部の欠陥準位や空間電荷そして添加剤等を調べることは重要であり, 従来からの大きな課題である. 熱刺激電流(TSC)はまさに材料内部で電荷が移動する変位を高感度に計測できる.測定後の評価に, 従来の評価法の概念を超えた最新の解析法がある. つまりTSCスペクトルのトラップ状態可視化技術は, 一度の実験で得られたあらゆる形状のTSCスペクトルを, 全体にわたってトラップ状態を可視化することで, 正確な信号の分離から解析までを実現できる.
外波 弘之フェノールポリマーの合成とその機能性評価 近年,酵素触媒をプラスチックなどのポリマー合成に利用する方法が注目されている.これは酵素触媒の有する次のような特徴を活用しよ うというものである.1,高い触媒活性 2,基質特異性 3,生分解性 4,穏和な条件下で機能.本研究では,このような酵素触媒の特徴を活かし,主として西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ(HRP)を触媒としてフェノール類を重合させる.生成するフェノールポリマーについて,抗酸化性などの機能性評価を行う.
木原 崇雄高速A/D変換器の非線形性を改善するデジタル補正技術 直接RFサンプリング受信機はA/D変換器(ADC)で数GHzのRF信号を低速のデジタルデータに変換している。この受信機の消費電力を十mW程度に減らせれば、無線端末用集積回路に応用可能となり、その開発コストと市場投入までの期間を軽減・短縮できる。電圧制御発振器(VCO)を用いたADCは高速変換と低消費電力動作を両立できるが、VCOの非線形性により発生する不要波が分解能を低下させる。本展示では、デジタル回路で不要波を低減させることでADCの高速変換・低消費電力動作を実現する技術を紹介する。