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研究テーマ
エネルギー・環境
学科の分類
工学部電気電子システム工学科

メカトロニクス技術、パワーエレクトロニクス技術を用いた電気機器の効率的な利用法 電気を「作る」から「送る」「変える」「配る」「使う」まで

工学部

電気電子システム工学科

メカトロニクス研究室

森實俊充 教授

電気機器の利用は他分野に渡っており、その効率的な利用法が求められています。それぞれの電気機器は直流あるいは交流が用いられていますが、近年のパワーエレクトロニクス技術の発展により電力変換機器を用いて直流と交流の電圧や電流、周波数や位相を自由に変換することが出来るようになりました。本研究室では 様々な電気機器を用いて電気を作るから使うまで、効率的な利用法を研究しています。

メカトロニクス技術、パワーエレクトロニクス技術を用いた電気機器の効率的な利用法として、電気を「作る」から「送る」「変える」「配る」「使う」までを研究テーマとしていますが、現在注力している分野3つを紹介します。
 
1.洋上風力発電に関する研究
 洋上風力発電システムを構築するなかで、新しい発電機システムを提案し、風速の遅い場合でも効率良く発電できる方法を提案しています。また洋上風力発電では沖合に発電機が設置されるため直流送電が必要ですが、その昇圧に高周波変圧器を中心としたSST(Solid State Transformer)の各コンポーネントの最適化などを研究しています。
 
1-1)新しい風力発電方法の提案
風速に応じた発電を誘導発電機で行う場合、インバータによる励磁が必要となりますが、このインバータは発電された有効電力の吸収および励磁の無効電力を供給するための容量が必要となります。ただ有効電力の吸収にはインバータである必要はなくIGBTと言った能動素子ではなく安価なダイオードを主素子とする整流コンバータ回路で充分です。よって本研究では有効電力用のPFCC(Power Factor Corrected Converter)と励磁用インバータに分離し、全体を安価なシステムにする方法を提案しています。
 
1-2)高周波変圧器を中心としたSST(Solid State Transformer)の構築
沖合に建設される風力発電システムから電力送電を考えた場合、その距離から直流送電がもっとも可能性があるとして検討されています。効率的な送電を行うためには洋上風力発電所では、発電された電圧を昇圧する必要がありますが、商用周波数に近い変圧器ではその容積が大きくなります。そこで高周波変圧器を主コンポーネントとするSSTシステムが提案されています。本研究では主コンポーネントである高周波変圧器の小型化に取り組んでいます。また、高周波交流を発生させるインバータとして、マトリックスコンバータやMMC(Module Multilevel Converter)の応用可能性についても検討しています

2.変形台形波変調(Modified Trapezoidal Modulation)を用いたインバータによるモータ駆動の高性能化

 理論上の交流モータ(誘導モータあるいは同期モータ)は正弦波状の起磁力を持ち、発生する磁界も正弦波状に分布しているとしてモータ駆動制御を行います。ただ実際の交流モータの磁束密度分布は正弦波状ではなく、数次の高調波を含む磁束密度分布をもっており、正弦波駆動時に6次の高調波トルクリプルを発生させます。また、正弦波インバータでは波高値が入力電圧によって制限されています。本研究では、正弦波の代わりに変形台形波を出力させることで同じ入力電圧でもより高い出力電圧を発生させることができ、また6次高調波トルクリプルを低減させることが出来ます。この方式を例えば、より高性能を必要とする電気自動車用モータ駆動に利用したり、充分は出力電圧が出せないマトリックスコンバータに応用しより高性能化を目指します。

3.リニア誘導モータによる磁気浮上搬送システムの開発

 リニア誘導モータを用いた磁気浮上搬送装置は、浮上システムとして電磁石による吸引力を用いるのが一般的です。本研究では、リニア誘導モータが発生する吸引力と推進力を同時にかつ独立的に制御し、浮かんで進むリニア誘導モータ磁気浮上搬送システムを検討しています。

具体的には、通常のモータ駆動周波数にリニア誘導モータの速度に同期する周波数(すべり=0を実現します)を重畳させ、吸引力と推進力の同時独立制御を実現しています。

論文

「2015年度~2019年度成果報告書 次世代洋上直流送電システム開発事業/システム開発/要素技術開発」(2020)東京電力ホールディングス株式会社『NEDO成果報告書』プロジェクト番号:P15002

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