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ホーム可塑化軟質塩ビの新規物性評価法
SDGsの分類
研究テーマ
エネルギー・環境ものづくり・製造技術
学科の分類
工学部応用化学科

可塑化軟質塩ビの新規物性評価法 RoHS2指令やSDSsに向けた取り組み

工学部

応用化学科

認識化学・物性解析研究室

森内隆代 教授

PVCパルスNMR分光計測法

プロトン核磁気横緩和時間T2に着目したパルスNMR分光計測法は、1)成形・調整することなく使用できる非破壊検査法であり かつ 2)経時変化も含めて容易に観測できることや、3)どのような形状の複合材料でもそのまま測定可能というこれからの新しい物性評価法に望まれる資質を有している上、4)分子運動性に対応する成分の測定が可能という他の評価法に例を見ない非常に特徴的な物性評価法として期待されています。本研究では、昨今の世界的問題である塩ビ製品中の可塑剤の動的挙動を評価する汎用性の高い物性評価法としての展開を目指しています。

 PVC(塩ビ樹脂)は、非結晶性のため様々な物質との混和性が良く、使用時の物性(柔軟性, 弾性, 耐衝撃性, 防汚染, 抗菌, 防曇, 防炎等)を、可塑剤,添加剤,改質剤,着色剤との配合によって自由に調整することができる。この自由度の高さ・耐用年数の長さ・極めて優れたリサイクル性と価格のバランスの良さから、PVCはわずかな品種で多くの用途をカバーしており、上下水道, 電線といったライフラインや建材などの基礎産業から日用品,最先端のエレクトロニクス,医療器材まで、多様な分野で利用されている。しかし、多用されているフタル酸エステル系可塑剤は、2μg/kg/日程度(日本食品分析センター(2001年))摂取され、健康・環境への有害性の懸念から、成形品への使用に対してより厳しい修正制限案(REACH規制(2018年3月28日))が通達され、さらに2019年7月22日からはRoHS(Ⅱ)指令により電気電子製品を構成する均質材料でも使用制限が開始となり、日本から欧州へ輸出されるすべての電気電子製品が対応に追われている。この塩ビ製品からの可塑剤の滲み出し・揮発・他物質への移行は、可塑剤の低分子量,低相溶性(混和性),量超過などで見受けられるが、製品中の相溶性・滲み出しを事前に評価する方法は未だ確立されていない。度重なる規制に迅速に対応するためにも、製造段階での簡便な物性評価法の確立は不可欠である。

 本研究では、この社会的ニーズに応える物性評価法として世界に先駆けて1H核磁気横緩和時間T2を用いることを着想し、塩ビ材料中の可塑剤の分子運動性評価に適したT2測定法や数値処理法を開発している。本研究で用いる1H核磁気横緩和時間T2測定は、細かく砕いたり測定用に成形することなく使用できる非破壊法であり かつ 経時変化も含めて容易に観測できるということと、単一成分に限らず固体や液体あるいはゲルや混合状態といったどのような形状の複合材料でも適用可能ということが、他の評価法に例を見ない非常に優れた点である。さらに、通常の物性評価法は、含量の多い成分の評価が主体となるが、本手法は、分子運動性をもつ成分の測定が可能という、非常に特異な特徴を持つ。また、本手法と同じパルスNMR分光計測法に関する研究もあるが、その殆どが縦緩和時間(T1時間)測定を用いており、本研究とは根本的にアプローチが異なる。本手法は世界でも他に例がなく、関連する学術雑誌からも注目され、2020年145号のAnalystでは裏表紙論文に選定されている。

論文

「核磁気横緩和時間を用いる異なる溶媒で作製したイオン選択性電極膜の可塑化評価」(2021)関口ゆりあ『分析化学』70(3)p.191-197.

「Proton spin relaxation study with pulsed NMR on the plasticization of Na+ ion-selective electrode」(2020)Moriuchi-KawakamiTakayo『Analyst』145(11)p.3832 - 3838.

「Evaluation of the Plasticization of Ion-Selective Electrode Membranes by Pulsed NMR Analyses」(2014)Moriuchi-KawakamiTakayo『Talanta』127p.146–151.

研究者INFO: 工学部 応用化学科 認識化学・物性解析研究室 森内隆代 教授

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