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ホームカント『オプス・ポストゥムム』と初期ドイツ観念論との関係についての研究
SDGsの分類
研究テーマ
人文学
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カント『オプス・ポストゥムム』と初期ドイツ観念論との関係についての研究

工学部

総合人間学系教室

人文社会研究室

内田浩明 准教授

カント『オプス・ポストゥムム』フィヒテ、シェリング

私の研究テーマは、ドイツの哲学者イマヌエル・カント(1724-1804)の思想究明である。カントの著作は数多くあるが、カント哲学の代名詞とも言える「批判哲学」の主著と目される『純粋理性批判』は、まず理解しなければならないものである。しかし、それだけではカントの思想の全体像は浮かび上がってこない。 そこで、近年はカントが最晩年に書き残した『オプス・ポストゥムム』(ラテン語で「最後の作品」という意味)と呼ばれる草稿と『純粋理性批判』やカントの他の諸著作、および初期ドイツ観念論との関係を解明するための研究を行っている。

研究の特徴:同時代の哲学者との関係を中心とした『オプス・ポストゥムム』研究

『オプス・ポストゥムム』が書かれた時期には、ラインホルト、『エーネジデムス』の著者として現在知られているシュルツェ、フィヒテ、シェリング等の次世代を担う哲学者が次々と登場することになる。そのため、彼らとカントとの相互影響に重点を置きながら、『オプス・ポストゥムム』研究を進めているが、日本においてこのスタイルで研究を行っている研究者は殆どいない。

具体的な研究内容

①ラインホルト(Karl Leonhard Reinhold, 1757-1823)は、『カント哲学についての書簡』(1786)を著し、カント哲学を世に広めた功労者の一人であった。しかし、カント哲学に物足りなさを感じた彼は、『表象能力の新理論の試み』(1789)、『哲学者たちの従来の誤解を是正するための寄稿集 第一巻』(1790)、『哲学知の基礎について』(1791)等の書物を矢継ぎ早に公刊する。

上記著作においてカント哲学には欠けているのは、理論哲学と実践哲学の全哲学を導出する唯一の「根本命題」であるあると指摘し、「意識律」という原理を提示することになる。

そこで、ラインホルトの「意識律」によって、全哲学の導出が可能かどうか、カント哲学の観点から研究している。

②シュルツェ(Gottlob Ernst Schulze, 1761-1833)は、カント・ラインホルト哲学には批判的な哲学者である。その批判的内容を展開したのが、古代の懐疑論者アイネシデモスに準えた『エーネジデムス』であった。当該著作ではラインホルの「意識律」批判やイギリスの哲学者ヒュームに依拠し「ヒュームの懐疑論は本当に理性批判によって論駁されたのか」等の観点からカント批判が行われている。

シュルツェとカントの直接的な交流はないものの、『オプス・ポストゥムム』では『エーネジデムス』に繰り返し言及されている。

そこで、はたしてシュルツェのカント批判は妥当なものなのかを研究している。

③フィヒテ(Johann Gottlieb Fichte , 1762-1814)は、『エーネジデムス』を一方では評価しつつも、他方ではラインホルト・カントを擁護もしている。とりわけ、全哲学を唯一の根本命題から導出することに関しては、ラインホルトに賛同し、「知識学」という独自の哲学を構築した。

こうしたフィヒテ哲学に対して、カントは晩年に、それが「自己意識が内容のない空虚」なものであるとの「声明」を公にすることになる。

カントの「声明」が正鵠を射たものかどうかの検証は当然必要となる。そこで、カント哲学と初期フィヒテ哲学との研究に取り組んでいる。

④シェリング(Friedrich Wilhelm Joseph von Schelling, 1775-1854)は、当初フィヒテの強い影響のもと、自らの思想を開陳していた。ところが、自然哲学の位地付けを巡り1800年以降、徐々にフィヒテと対立するようになる。

カントの『オプス・ポストゥムム』は元々「自然科学の形而上学的原理から自然学への移行」というタイトルでカントが生前出版を考えていた未刊の草稿群であり、『オプス・ポストゥムム』において実際にシェリングに言及している箇所もある。

そのため、シェリングとカント哲学との関係を究明している。

論文

「フィヒテの『知識学への第二序論』とカント」(2018)内田浩明『フィヒテ研究』26p.37-47.

「『エーネジデムス』とカント――『オプス・ポストゥムム』を視野に入れ」(2017)内田浩明『大阪工業大学紀要』61(2)p.13-25.

研究者INFO: 工学部 総合人間学系教室 人文社会研究室 内田浩明 准教授

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