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ホーム標準正規分布の幾何学的対称性
SDGsの分類
研究テーマ
自然科学
学科の分類
情報センター

標準正規分布の幾何学的対称性 三平方の定理による累積確率評価

情報センター

中西真悟 准教授

標準正規分布三平方の定理対称性

連続な確率変数の確率密度関数の積分形は、0から1までで評価できる累積分布関数です。では、累積分布関数を積分するとき、積分形の関数の一階の導関数は、累積確率として0から1までの傾きになります。つまり、直角三角形を用いた三平方の定理による評価が可能になります。そこで、標準正規分布の幾何学的対称性を応用しながら三平方の定理を用いてみると、新たな確率評価基準が思考できます。

標準正規分布に関する幾何学的対称性の動画紹介

  1. まず、コイン投げの繰り返しゲームに手数料を考慮して繰り返すと最大獲得額は必ず27%ルール(確率点0.612)に従う説明が始まります。
  2. その時の標準正規分布上に、正方形と円が同時に描ける鍵が見つかったことを紹介します。この円と正方形に加えて2種類の微分方程式で描ける曲線が登場します。
  3. それらに古代エジプト作画法と三平方の定理を用いた提案を行います。
  4. さらに、回転対称性や個性ある図形との幾何学的特徴やその調和を紹介しています。

ウォーミングアップ & 狙い!

  • 右図のような変形サイコロの目を繰り返し足していくと、正規分布に近づくことが知られています。
  • 同様に、勝てば1円を得て、負ければ1円を支払う繰り返しコイン投げを考えます。30,000人分の50回連続試行のコイン投げをゲームとして見た場合には、勝敗による損益もまた正規分布に近づくことがわかります。

一方で、計って比べて統治する文化として誕生する統計学を支援するために、古代バビロニアの頃から三平方の定理の鍵となる数値が文明とともに知られていました。

 

本研究では、この特別な正規分布と三平方の定理に注視し、先人の知恵や文化を借りながら視覚的な幾何学的特徴の解明を狙っています。

繰り返しコイン投げ
変形サイコロやコイン投げの繰返し試行の傾向
確率点0.612003による正負のリターンと正規分布の特徴
確率点0.612003の特徴と鏡映効果

27パーセントルール(片側確率点0.612003)だった!

勝者が手数料を支払ってでも稼ぐ最大獲得賞金額を計算すると確率点が0.612になります。

この数値は、約100年前に英国のカール・ピアソンによって見つけられています。その後、英国のコックスが正規分布のクラスタリングを提案し、米国のケリーが27%ルールとして研究しています。研究責任者も、独自の方法でこの数値に辿り着きました。この確率点0.612は、正規分布の幾何学的解明に大変重要な役割を果たします。

  • 左図の左側図は、そのときの手数料と最大獲得賞金が釣り合っている場合です。
  • 左図の右側図は、その傾向が放物線になり、手数料を考慮した勝者獲得賞金と敗者の損失の鏡映効果として図示しています。
三平の定理と標準正規分布
三平方の定理と標準正規分布

正方形、円形、二組の微分方程式による曲線へ!

  • アスペクト比(縦横比)を1にとり、確率点0.612を2倍して考察すると標準正規分布に正方形を描けます。
  • そこに、勝者が最大賞金を得る確率は27%になるので、全体の勝者獲得賞金額を27%で割り、勝者一人当たりとして見積もる場合と比較します。すると、円を描く鍵が得られます。
  • その後に、累積分布の積分形を意味する微分方程式と逆ミルズ比を意味するベルヌーイ型の微分方程式が見つかり、同時にこれらを図示できました。
  • さらに、この二組の微分方程式と標準正規分布の幾何学的特徴を調べるために、奥行きを感じさせない古代エジプトの作画法を適用します。その結果、25%、50%、75%等、どの確率でも三平方の定理により描けることを発見しました。

直角三角形と原点の重要性とその対称性がわかった!

 実は、上図では、片側確率点が0のときが大変重要でした。

では、右図のように原点を中心に第4事象まで図のイメージを拡大させながら、原点を中心に円を描きます。すると、二組の累積確率の意味がより鮮明になります。

加えて、右図には、切片系の方程式の修正版を図示しています。

ここで、対称な二組の二階線形微分方程式、二組のベルヌーイ型微分方程式を右図の表示のように考えます。すなわち、媒介変数表示形式、もしくはパラメトリック方程式として表示し、確率の比による重ね合わせを実践します。すると、

  1. 確率の比による和の表示形式では回転による対称性
  2. 確率の比による差の表示形式ではせん断による対称性

を表示できます。詳しくはこのリンク(アニメーション)をご確認ください。

切片系の方程式
標準正規分布と逆ミルズ比の切片系の方程式
標準正規分布と回転対称性、正三角形と黄金比との視覚化
標準正規分布と回転対称性、正三角形や黄金比との視覚化

円積問題、正三角形や黄金比とも相性が良かった!

さらに、応用例として、

  • 回転対称性から、正三角形や黄金比等と相性が良かった確率点を左図に示しています。
  • また、逆に図示していませんが、円と正方形を固定して正規分布を変形させていくと、円積問題とも整合性が良いことがわかっています。

以上の成果を求めて、左図の上側の図に示す確率点0.612の幾何学的特徴の解明から研究を継続しました。多くの失敗を繰り返し、先人の知恵や歴史や文化にも頼りながら提案してきました。その結果、得られた成果は神様の設計図を感じる程美しい幾何学模様が描けました。また、本学の先生方をはじめ多くの方々からも助言・支援を受けたことを付記して感謝し、独自の発想で標準正規分布に円、正方形、微分方程式による曲線を描き重ねながら三平方の定理による累積確率評価という構想に辿り着きました。

では、結果までのアプローチ方法は一体何?それがこの研究の独自性?

研究責任者は数学者やデザイナーではございません。膨大なデータ処理やその数式処理や検証には、Excel、Mathematicaが不可欠でした。また、図のイメージ化や創作活動には、歴史、先人・専門家の助言、分野外の文献に加え、Illustrator、zoomIt等でのスケッチと供に協働作業アプリやITツールを多数活用しました。研究者や現場でお困りの方、皆様の取り組みのヒントやプロトタイプになれば幸いです。

上記の本研究の関連作品にご関心のある方は、情報センターの中西真悟のHPへどうぞ!

論文

「Rotationally Symmetric Relations of Standard Normal Distribution Using Right Triangles, Circles, and Squares  – Ordinary Differential Equations, Pythagorean Theorem, Equilateral Triangles, and Golden Ratio –」(2020)中西真悟『京都大学数理解析研究所講究録』(2158)p.171-183.

「Geometric Characterizations of Standard Normal Distribution - Two Types of Differential Equations, Relationships with Square and Circle, and Their Similar Characterizations -」(2018)中西真悟『京都大学数理解析研究所講究録』(2078)p.58-64.

「手数料を考慮したコイン投げの繰返しゲームの賭けにおけるすべての勝者の獲得賞金の総和最大化とその試行回数の関係」(2012)中西真悟『日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌』55p.1-26.

研究者INFO: 情報センター 中西真悟 准教授

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荒木 英夫

匂い検出を目的とした半導体ガスセンサシステム

これまでにもコンピュータを利用した嗅覚について研究されているが、一般消費者が利用可能な形では実用化されていない。このことから我々はだれでも利用可能な人工嗅覚装置の実現を目指して研究を行っている。  人工嗅覚を実現するためには、空気中の化学物質を測定する必要があり、主にガスセンサを用いた研究がおこなわれている。本研究でも安価で取り扱いが容易な半導体ガスセンサを用いている。半導体ガスセンサは反応するガスが異なる種類が提供されており、我々の研究では複数の特性が異なる半導体ガスセンサとマイコンを組み合わせた小型で取扱いが簡単な人工嗅覚装置の実現を目指している。  一般的な半導体ガスセンサはヒータを持ち、内部の温度を管理する必要があるが、このヒータによる加熱を変更することにより感度を変化させることができる。これを利用して、一つのセンサからできるだけ多くの情報を得ることができるハードウエアを作成した。そして、得られた情報から匂いの種類を分類するために、機械学習を取り入れた認識システムを実現し評価を行った結果を示す。

辻田 勝吉

宇宙機の地上試験用重力補償ロボットシステムの開発

宇宙機用の展開構造物は、地上施設にて展開挙動の性能評価が義務づけられている。近年の宇宙機は大型化、多様化が進む一方、我が国の地上試験施設は過密スケジュールに加えて、試験に要する人件費の増加が宇宙計画の一つのボトルネックになっている。本研究では、下方支持型群ロボットシステムを用いて宇宙機の展開構造物の挙動試験時の重力補償、および挙動の精密計測を実現することを目標とする。これにより、多様化する宇宙機の試験には群ロボットシステムの規模変更のみで対応でき、コスト削減と高い汎用性が期待される。

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