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研究テーマ
自然科学
学科の分類
情報科学部情報知能学科

ホログラフィック原理による宇宙創生の研究

情報科学部

情報知能学科

数理物理学研究室

疋田泰章 教授

超弦理論初期宇宙ホログラフィック原理

宇宙がどのように始まったかを、重力理論を使って明らかにしたいと考えています。重力理論として有名なものに一般相対論がありますが、一般相対論は宇宙が非常に小さい空間から始まったことを予言します。ところが、そのような領域は一般相対論の適用範囲を超えており、古典論を超えた量子論的な効果を取り入れる必要があります。本研究では、ホログラフィック原理による量子重力の記述法を開発し、宇宙創生の謎に挑戦します。

研究の背景

宇宙はどのように始まったのでしょうか。近年の物理学の進展により、このように哲学的とも思われる問題に関しても、科学的な解析が行えるようになってきました。重力を記述する理論としては、アインシュタインによる一般相対論が有名です。一般相対論を用いると、宇宙は非常に小さな空間から始まったという結論が得られます。そのような領域では量子重力の効果が強く効いてきます。ところが、量子重力を記述するような満足のいく理論を今のところ存在しません。量子重力を記述する有力候補として超弦理論があり、ホログラフィック原理が自然に導かれます。ホログラフィック原理はブラックホール物理を記述するために発展してきました。そのホログラフィック原理を宇宙の始まりに適応できるよう拡張することで、宇宙創生の謎に取り組みたいと考えています。

ホログラフィック原理

ブラックホールにはホライズンが存在し、ホライズンの内側に落ちてしまうと二度と戻ってくることはできません。ブラックホールの自由度(エントロピー)はホライズンの面積に比例することが知られています。このことは、ブラックホールを含む重力理論は、体積ではなく面積の次元を持つような低次元の理論で記述できることを示唆しています。このような考え方を、2次元のフィルムに3次元像の情報が記録される「ホログラム」にちなんで、ホログラフィック原理と呼びます。量子重力理論の有力候補に超弦理論があります。素粒子の標準模型では、基本構成要素は点粒子となっています。その一方、超弦理論では、基本構成要素を空間方向に一次元広がった弦であるとします。30年ほど前に、ホログラフィック原理の超弦理論による具体的な例が構成され、その後広範な研究が行われてきました。ただし、ホログラフィック原理はブラックホール物理を中心に発展しており、一般の場合への拡張は容易ではありません。

宇宙創生の謎へ

一般相対論によると、宇宙は非常に小さな空間から始まったとされます。この時期にどのようなことが起きたのでしょうか。また、ホーキングらによると、宇宙は無から始まったとされます。具体的にどのように実現されるのでしょうか。これらのことを明らかにするためには、量子重力理論を適用する必要があります。私たちは、2次元空間の簡単化した場合ではありますが、低次元理論で量子重力を記述するホログラフィック原理の具体例を提唱しました。このホログラフィック原理により、宇宙初期の密度揺らぎの計算を遂行しました。密度揺らぎには、宇宙初期にどのようなことが起きたのかという情報を含んでいます。また、私たちの提案を利用して、ホログラフィック原理によりどの宇宙創生のシナリオが実現されるかを明らかにしました。現段階では、2次元空間の簡単化された場合しか解析できていません。これらの研究を私たちの3次元空間へと拡張することが今後の課題となっています。

論文

「Holography in de Sitter Space via Chern-Simons Gauge Theory」(2022)疋田泰章『Physical Review Letters』129(4)p.041601.

「Three-Dimensional de Sitter Holography and Bulk Correlators at Late Time」(2022)ChenHeng-Yu『Physical Review Letters』129(6)p.061601.

「Complex Saddles of Three-Dimensional de Sitter Gravity via Holography」(2023)ChenHeng-Yu『Physical Review D』107(10)p.L101902.

研究者INFO: 情報科学部 情報知能学科 数理物理学研究室 疋田泰章 教授

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