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八幡工学実験場

地震火災に対する建築物の耐火性能 高温および冷却後の室温環境下における鋼材のバウシンガーモデル

八幡工学実験場

西野孝仁 教授

共同研究者

西野孝仁

地震直後に発生する火災、いわゆる地震火災に対する建築物の耐火性能を明らかにしておくことは重要である。なぜなら、地震でダメージを受けた建物が補修されることなく火災に遭遇すると、地震によるダメージが無い場合に比べ、耐火性能が低下する可能性があるから、である。鉄骨建物の場合、地震および火災によるダメージの一つとして座屈があり、繰り返し応力履歴(火災時でも皆無ではない)を受けると座屈が発生しやすくなる。繰り返し応力履歴下での座屈には、材料の応力度-ひずみ度関係におけるバウシンガー領域の存在が影響を及ぼす。当研究室では、高温環境下及び高温冷却後の室温環境下における鋼材のバウシンガーモデルの開発に取り組んでいる。

室温環境下におけるバウシンガーモデル

鋼材が繰返し時履歴を受ける場合の応力度-歪度関係の特徴の一つとして、移動硬化・等方硬化・バウシンガー効果がある。これらを組み合わせたモデルとして右図の辻モデル[1]がある。辻モデルは室温環境下を対象としているので、このモデルが高温時にも適用できることを確認する。枠Fは降伏曲面を表しており、σは材料に生じている応力度である。応力点が枠Fの内側にある場合は弾性挙動を示し、枠F上にある時は塑性挙動を示す。辻らはこのモデルの発展形として、バウシンガーモデルを導き出した。

辻モデル

高温環境下における鋼材の応力度-歪度関係

モデルの適用例と今後

高温環境下でも適用可能なように修正した辻モデルを、温度履歴を受ける両端固定梁に適用した例が右図である。

この研究成果を踏まえ、当研究室では、高温環境下及び高温冷却後の室温環境下における鋼材のバウシンガーモデルの開発を、辻モデルを基礎として取り組んでいる。そのモデルを有限要素解析ソフトウェアに組み込み、鉄骨建物の地震火災に対する耐火性能を明らかにしていく予定である。

[1]山田稔、辻文三:鋼材の応力-歪関係に関する研究(Ⅰ)、日本建築学会論文報告集 第270号、昭和53年8月、pp.17-22

論文

「等方硬化と移動硬化を考慮した高温時の応力度ーひずみ度関係(その1.単純応力状態)」(2017)西野孝仁『日本建築学会大会学術講演梗概集』p.175-176.

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