逆接の意味が漂白化したBUTの「逆接」とは何か?
辞書に,butのspokenの用法で逆接の意味が漂白化したような意味が記述されている.それらは,「怒り,驚きなどを表す」,「謝罪の後に用いる」,「話題転換する前に用いる」,「語の反復の間に用いる」という用法である.しかし,butが本来持つ逆接の機能とこれらの用法とのつながりはよく分かっていない.そこで,but の逆接の意味が漂白化した用法とbut本来の逆接の意味とがどのようにつながっているのかについて述べる.
「ヘイトスピーチ」という語はこれまで、街宣活動やオンラインの掲示板などで不特定多数の人々に向けて発せられる、特定のアイデンティティを有する人々への差別的言語行動に対して用いられてきた。しかし、偏見や差別が人々の日常会話において談話を通して(再)構築されることを鑑み、本研究では個人間会話というミクロレベルでの差別の実践を問題とする。本研究では実際の会話の談話分析を通し、日常会話における差別は、「差別は悪である」という社会通念・規範よりも、相手との人間関係を良好に保つという相互行為上の規範が優先されるために起こるということを論じた。
論文
「日常会話における差別の(再)生産について ―ヘイトスピーチ(差別的談話)をミクロレベルで考える―」(2019)『大阪工業大学紀要』64(2)p.37-52.
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