一軸掃引塗布プロセスによる太陽電池用ペロブスカイト薄膜の作製

工学部

電気電子システム工学科

有機エレクトロニクス研究室

藤井彰彦 教授

近年太陽電池材料として有望視されている有機無機ハライドペロブスカイトの塗布製膜性に着目し、基板上に直接単結晶薄膜を作製する塗布プロセス技術を検討し、高い光電変換効率を示す太陽電池の開発を行っています。従来製膜法と比較すると、結晶粒径が100倍の100 μmの結晶が育成し、キャリア輸送に有利な結晶軸を面外方向に配向させることができ、太陽電池のエネルギー変換効率と安定性の改善に貢献しています。

研究背景と目的 近年、有機無機ハライドペロブスカイトを太陽電池に活用する試みにより、Si系太陽電池に匹敵する高い光電変換効率が示され、新規太陽電池材料として期待されている。例えば、代表的な有機無機ハライドペロブスカイトであるCH3NH3PbI3 (MAPbI3)は塗布製膜技術が活用可能という特徴がある。基礎研究上はスピンコート法で製膜される場合が多いが、実用的には大面積化に適合する手法が必要となる。そこで、印刷製膜の基盤技術であり、大面積でかつ一様に塗布可能なバーコート法に着目し、MAPbI3の薄膜作製について検討している。 ◆ 本研究シーズの特徴 ➤ 薄膜表面の平滑性と結晶粒界の減少を実現する精密コーティング ➤ 核生成と成長速度の抑制による結晶軸の面外方向への一様配向の実現 ➤ コーティングバーの掃引速度制御による再現性の高い膜厚 ➤ 溶媒蒸発サイト制御型一軸掃引加熱による面内一軸方向への結晶成長 ➤ ヒステリシスフリーの高効率光電変換

論文

「In-plane uniaxial crystal growth in CH3NH3PbI3 bar-coated thin film by evaporation-site-controlled annealing」(2023)SaitoTomoki『Japanese Journal of Applied Physics』62p.050904-1-050904-5.

「Thickness control and photovoltaic properties of CH3NH3PbI3 bar-coated thin film」(2022)FujiiAkihiko『Japanese Journal of Applied Physics』61p.SB1032-1-SB1032-6.

「Highly (100)-oriented CH3NH3PbI3 thin film fabricated by bar-coating method and its additive effect of ammonium chloride」(2020)MurataMasashi『Solar Energy Materials and Solar Cells 』208p.110409-1-110409-7.

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