SDGsの分類 研究テーマ 自然科学 学科の分類 情報科学部情報知能学科 超弦理論から見た時間・空間・物質の双対性 情報科学部 情報知能学科 基礎物理学研究室 木村哲士 教授 超弦理論時空のコンパクト化T-双対性 アインシュタインの相対性理論により、時間・空間・物質は互いに影響を及ぼしているとされました。この視点は現在の観測結果と矛盾していません。しかしながら、我々はこの世界が何故「時間は1つ」「空間は3方向」「物質はクォークとレプトン」「質量の起源はヒッグス粒子」「力は4種」で構成されているのかをいまだ説明できていません。 10次元時空から4次元時空へのコンパクト化 物質の根源は大きさを持たない点粒子ではなく、プランクスケール程度(~10−35m)に拡がった弦だとすれば、時間・空間・物質・力すべてを「弦の振動モード」という単純な記述で表現できるのではないか、さらには困難とされた「一般相対論と量子論の融合」が可能になるのではないか、と期待されるようになりました。これを超弦理論といいます。ただ、超弦理論は10次元時空でのみ成立するので、現実的ではないとされ一時期廃れました。しかし1980年代に「私達の認識できない6次元空間が、ある特殊な幾何学(Calabi-Yau空間)として小さくコンパクト化されていると考えれば、私達が住む4次元時空の時間・空間・物質の成り立ちが説明できる」という研究成果が登場して以来、現在まで大きく進展しています。 6次元Calabi-Yau空間を便宜上2次元面に射影した図。 トーラスにコンパクト化された時空上を伝搬する弦と、巻き付いた弦とのT-双対性 弦の運動を理論的に調査すると、アインシュタインの一般相対論などでは見えなかった時空構造の「双対性」が発現します。左図上側にあるように、半径のシリンダー状の時空上を伝搬する弦の質量スペクトルと、左図下側にある半径 のシリンダー状の時空に巻き付く弦の質量スペクトルは等価であるといいます。つまり物理現象としてまったく同一であることになります。これを「T-双対性」と呼びます。上記のCalabi-Yau空間に対してこのT-双対性を応用すると、それまでは別々に考えられていた4次元時空上の物理現象が互いに関係するのではないかとみなされるようになりました。 超弦理論が示す時空構造の追究 この宇宙の形を理解しようするため、私達は超弦理論によるT-双対性を応用しています。例えば右図のように、ある特殊な物体(エキゾチックブレーン:図の中央)の周囲を一巡すると、その動きに合わせてコンパクト空間は一般座標変換と同時にT-双対性が施されます。これをT-foldと呼びます。一般相対論では不可思議にみえるこのT-foldは超弦理論においてはきちんと説明できる自然な時空解になります。このような構造が実際に宇宙で観測されるならば、超弦理論は「時間・空間・物質」の根源を解き明かす根源的な理論であろうという期待がますます高まります。私達は数学的・物理的に可能な現象を理論的に構築し検証することで、この宇宙の時空構造がどのように成り立っているのかを理解しようと追究し続けています。 T-fold を与えるエキゾチックブレーン ( 5 2 2 と書かれた中央の物体)。 研究者INFO: 情報科学部 情報知能学科 基礎物理学研究室 木村哲士 教授 研究シーズ・教員に対しての問合せや相談事項はこちら 技術相談申込フォーム
鎌倉 快之 カメラを用いた人の非接触状態計測 カメラの映像から顔や顔のパーツ,身体の動きを検出して生体信号を計測したり,計測した情報を応用するシステムを作成しています.また,計測したデータが,実際のセンサで計測したデータとどのくらい一致するのか,どんな風に違っているのかについて比較,解析しています. カメラを用いたウェアレス(非接触)での計測とその応用について検討しています.
+1 福島 拓 話者の意図を適切に伝達可能な多言語間対話支援手法 医療従事者と外国人患者の間の対話支援を目的とした,多言語対話支援手法について述べる.医療現場において母語が異なるために意図の伝達が円滑に行えない問題を解決するために,用例対訳と機械翻訳を併用した多言語間対話支援技術の開発を行っている.本技術では,用例対訳や回答候補などの概念を用いて正確な意図の伝達を支援している.
山内 雪路 フリーWiFi接続サービス監視方式と監視装置 集客施設などで来訪者向けのフリーWiFi接続サービスを提供する機会が増えている。ところが大規模通信事業者のサービスを用いず、主たる事業に付随して開設する形態のフリーWiFi接続サービスでは設置者がその稼働状況を気にせず放置したままで必要な時に利用できない場合や、悪意ある利用者がフリーWiFi接続用アクセスポイント(AP)になりすましたAPを設置し、盗聴や中間者攻撃を行う場合がある。本研究では「ダミークライアント」と呼ぶ簡易な装置を開発し、フリーWiFi接続サービスを遠隔地から総合的に監視するとともに、悪意ある攻撃者の出現を迅速に発見可能なシステムサービスが提供可能となった。本研究の成果は地方自治体の公共施設で数年に亘って安定的に稼働しており、トラブルの迅速な発見に貢献している。JST主催 2021年度イノベーションジャパン大学見本市に出展。
+1 真貝 寿明 宇宙物理学・相対性理論研究+文理協働研究+科学のアウトリーチ活動 アインシュタインが相対性理論を提唱して100年が経ち,技術が進化して,ようやく重力波・ブラックホールの直接観測ができる時代になりました.日本の重力波観測プロジェクトKAGRA(かぐら)の科学研究者代表を2017年から21年まで務め,一般向けの著作や講演も多く請け負っている教員が,この分野の解説を提供いたします.「相対性理論はどこまで正しいのか」「宇宙への理解は今後どう深まっていくのか」などをテーマに,歴史的・科学的どちらの視点からも可能です.
小西 将人 実行不要な命令を動的に排除する効率的なプロセッサ プロセッサの命令実行の効率性を妨げる要因の1つとして,ロード命令の実行にかかる時間が大きいことが挙げられる。この研究の目的は,不要なロード命令の一部を動的に排除(スキップ)するようなプロセッサの構成を提案し,命令実行の効率性をあげようとするものである。シミュレーションによる評価からおおよそ15%程度のロード命令がスキップできる可能性があり、また全体のプログラム実行時間をおおよそ8%程度減少させることが期待できる。
+1 中西 真悟 ニュートンの二項定理を活用した修正パスカルの三角形の考案 ニュートンの二項定理では、負のべき乗を級数として表現できます。これがパスカルの三角形に活用できることは意外と知られていません。本研究ではフィボナッチ数列とリュカ数列の表現に、この発想が欠かせないことを可視化するとともに、この両数列に関連する数列を修正パスカル三角形が見事に表現してくれることを紹介します。下記に示す修正された三角形をご覧いただきこの考え方のアルゴリズムって美しいなって感動してもらえたら光栄です。
福島 拓 避難訓練や運動などの動機づけを行う情報システム 制御焦点理論を活用した動機づけ支援を行う情報システム(避難訓練支援,運動支援)の研究開発を行っている.制御焦点理論は心理学で研究されている人の志向性(考え方の特性)に関わる理論である.人々を志向性のグループに分け,それぞれに適した支援を行うことで各場面での動機づけを行っている.本研究では,心理学分野の知見を活用した情報システムの研究を行っている.
+1 明 孝之 第一原理計算で解き明かす原子核の姿 元素の源となる原子核は陽子と中性子から構成され、それらの間に作用する「核力」によって結合します。核力はπ中間子とよばれるミクロな粒子を陽子と中性子が交換することにより生じます。本研究では、この特徴を持つ核力が原子核の性質にどのような影響を与えるのか調べています。
椋平 淳 共生社会の深化に資する演劇事業の企画・運営 高齢化や経済格差拡大などの社会環境の変化を背景に、劇場のもつ社会包摂機能が注目されている。特に公共の劇場が提供する事業には、単に舞台関係者や芸術愛好家に訴求する要素だけでなく、広く一般の人々の幸福感増進やコミュニティ活性化に資する多様な機能が求められる。個別の演劇事業の企画・運営や統括的な劇場運営・プログラムデザインのあり方、さらには共生社会の実現に向けた劇場を拠点とする地域貢献の方策について、実践的に探求する。
江口 翔一 時系列データを用いたモデル化 近年の計算機システムの発展と利用環境の向上により、諸科学や産業界のあらゆる分野でデータが蓄積されている。このようにして大量に蓄積されたデータから、 その背後にある自然現象や社会現象のような複雑かつ不確実な現象を読み解くには、データから本質的な情報を抽出するための手法の開発が不可欠である。このとき、不確実現象の解明と予測、知識獲得のために重要な役割を果たすのが現象のモデル化であり、時系列データを用いた現象のモデル化の問題に取り組む。
+2 樫原 茂 ワタリガニ養殖の持続可能なDX化プロジェクト 本研究課題では,食用カニであるワタリガニの養殖を対象とし,その収穫率向上のためにICT(情報通信技術),Internet of Things(IoT),およびAI(人工知能)を適用した次世代ワタリガニ養殖の持続可能なDX化の体系化に向けた実証的研究に取り組んでいる.養殖業におけるICT・IoT・AIの適用は黎明期であり効果的な活用方法について模索しているのが現状である.ワタリガニの養殖環境を有し,これまで共に研究を行っているハサヌディン大学(インドネシア)及び伊良部島を研究拠点とし,効率的かつ効果的な次世代のワタリガニ養殖方法の研究開発を実施している.
島野 顕継 高等学校普通教科「情報」の質向上を目的とした教材及び シラバスの作成 文部科学省高等学校次期学習指導要領解説情報編(平成30年度改訂)では,情報分野を学ぶ上で専門的な知識に触れ,それがどの様な仕組みであるかを知るための教育を重要視している.本研究では情報の科学的な理解を深め,情報分野に対する興味・関心を引き出すことをねらいとする高等学校情報科科目「情報I」で実際に活用でき,特定の環境を用意できる現場を助ける教材開発及びシラバスの作成を行った.
+1 井垣 宏 リアクション機能を備えたリモートモブプログラミング支援環境の検討 複数人でソフトウェア開発を行う手法の一つとして,モブプログラミングやペアプログラミングといったというものがある.モブプログラミングでは,開発者らは端末を操作するドライバと開発画面を見ながら意見を出してドライバをサポートするナビゲータと呼ばれる役割に分かれ,役割を短時間で交代しながら開発を進めていく. 本研究室では,コロナ禍の現状を受けて,このモブプログラミングをリモート環境で実施している.実際に対面からリモート環境に移行するにあたり,開発者間のコミュニケーションにおいて課題が有ることがわかった.そこで本研究では,モブプログラミングのそれぞれの役割に応じたコミュニケーション支援機能とリアクションが実行された際に記録する機能を検討している.
中西 知嘉子 エッジAIで高精度物体認識・物体検出・姿勢推定 組み込み市場では,運用コストやセキュリティー,リアルタイム性などの問題から,エッジ(端末側)で単独処理できる「エッジAI」が期待されている.その実現方法であるFPGAによるエッジAIは根強いニーズがありながら,デバイスが高価格,実装が難しい,量子化による性能劣化という問題点があった.そこで,我々は,低価格のデバイスをターゲットにし,推論アルゴリズムを解析することで,効率よくアクセラレートする回路をFPGAで実装,処理を最適化することで,低消費電力で高速な推論処理を実現している.
+3 松浦 清 科学と宗教を繋ぐ美術 星曼荼羅の二形式すなわち円形式および方形式(図1)の構成要素とその配置に基づく構成原理ならびに成立と展開の解明を研究の中心としつつ、須弥山図(図2)などの絵画作品において、天文学に基づく科学知識と天空への思想がどのように関連して作品として成立しているのかを研究している。
山内 建二 情報処理技術に関する教育環境の研究 現代社会では、プログラミングはさまざまな分野で必要不可欠なスキルとなっており、教育機関ではプログラミング教育についての重要性が増しています。 また、プログラミングは、情報科学の分野だけでなく、ビジネスや医療、芸術など幅広い分野で活用されています。そのため、プログラミングを効果的に学ぶための環境の整備が必要とされています。
+1 谷 保孝 古第三紀神戸層群凝灰岩層の層序学的・記載岩石学的研究 本研究では,兵庫県三田盆地に分布する神戸層群凝灰岩層をより精密に区分し,それらの凝灰岩層の記載岩石学的性質を明らかにする.野外調査では凝灰岩層の岩相や分布を,鏡下観察では凝灰岩層の軽石斑晶鉱物の組み合わせを記載する.必要に応じて黒雲母などの化学組成も測定する.また,本研究による凝灰岩層序区分に基づいた地質図の作成も進める.本研究の成果は,神戸層群分布域で発生する地すべりに関する課題などを考察する上でも重要な役割を果たすことが期待される.
+1 鈴木 基之 音声からの高精度感情識別法の開発 通常音声から感情を識別するには,声の高さや大きさ,声色といった情報を利用しますが,これらは仮に同じ感情で話していても話す内容(言葉)によって大きく変化してしまいます。 そこで「同じ発話内容を無感情で話している音声」を音声合成を用いて準備し,それとの違いを見ることで高精度に感情を識別する方法を開発しています。近年利用が一般的となった大規模事前学習モデルの効果的な利用方法についても検討を行い,簡単な感情認識実験において97%の正解率を達成しました。
+1 酒澤 茂之 学習済みディープニューラルネットワークモデルの権利保護に関する研究 学習済みディープニューラルネットワーク(DNN)モデルの権利保護のために、電子透かしをモデル内へ埋め込む技術が注目されている。本研究では、画像分類型DNNモデルを対象とし、その内部パラメータは観測できず、入力画像と出力ラベル値のみが観測できる場合でも、そのDNNモデルを学習させた著作権者の情報を視覚的に取り出すことを実現する。
+2 西山 由理花 近代日本における政党政治の形成と崩壊に関する研究 近現代日本の民主主義のあり方に関心を持ち、近代日本の政党政治について、特に政党政治家の人物研究という観点から研究を行っている。近代日本の政党政治の形成・崩壊過程の中心にあった人物に焦点を当てることで、政策や組織の成り立ちの背後にある教育や社会状況をも含めて近代日本社会を理解できると考える。