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SDGsの分類
研究テーマ
土木・社会基盤
学科の分類
工学部都市デザイン工学科八幡工学実験場

構造実験センターにおける大型供試体を用いた橋梁の性能評価

工学部

都市デザイン工学科

コンクリート構造学研究室,コンクリート工学研究室,橋梁工学研究室

井上 晋教授,大山 理教授,三方 康弘教授,今川 雄亮准教授

維持管理安全性(耐荷力)橋梁火災

 八幡工学実験場は,大阪工業大学が,学内の教育・研究活動の活性化のみならず,産・官・学の各方面との交流により社会や技術の発展に寄与することを目的として設立されたものです.本実験場は,1986年12月に構造実験センターとしてそのスタートを切り,その後,水理実験センター,高電圧実験センターを併置して今日に至っています.広大な実験場の敷地内には特色ある各種の大型実験設備・装置が設置されており,これらは実験場設立の趣旨にしたがい,学内の教育・研究はもとより,学外の関係各方面との綿密な連携のもとに行われる各種の委託研究や共同研究に役立てられています.また,このような学外との交流は実験場で学ぶ学生にとって貴重な体験となっています.
 ここでは,構造実験センターに設置されている主な実験設備・装置を紹介するとともに,その設備・装置を用いて取り組んでいる研究について紹介します.

10,000kN 繰返し載荷試験装置

 フレームには,5000kNジャッキが2台が取り付けてあり,静的:10000kN,動的:5000kNの載荷能力があります.この試験装置は,実構造物の繰返し載荷試験や疲労試験を行うことが出来ます.

<研究紹介>ASR損傷RC梁の載荷試験

 アルカリシリカ反応(ASR)による損傷を生じたコンクリート構造物の残存耐荷力を確認する目的で,十数年屋外暴露した試験体の載荷試験を実施するとともに内部コンクリートの損傷状況を観察しました.結果として残存耐荷力は初期の設計耐力を上回るとともに,ASRによるひび割れはその大部分がかぶり部にとどまっていることが確認されました.また,内部コンクリートの残存強度には膨張の異方性の影響が確認されました.

反力壁

 例えば,柱には,その上に載っている構造物の荷重(鉛直荷重)が作用しています.一方,その柱に地震などの水平荷重が載荷したことを想定して実験できる設備として反力壁があります.反力壁は,高さ:6m,幅:11m,厚さ:1.5mの大きさで,頂部でも2000kNの水平力に耐えることができる構造になっています. 

<研究紹介>プレキャストPC橋脚の載荷試験

 コンクリート製橋脚の新たな形式として注目されているプレキャストPC橋脚の耐震特性を検討しています.プレキャストPC橋脚は変形の回復性に優れ,地震時の損傷を制御することができる構造として有効であることが確認されました.

自走式輪荷重移動載荷装置

 空気入タイヤの車輪を油圧モーターによって走行させる装置で,大型重量車および航空機などの輪荷重がシミュレートできるようになっています.この装置の目的は,道路橋鉄筋コンクリート床版やその付帯構造物ならびに道路舗装などについて,繰返し走行による耐久性試験および疲労特性の調査などを行うことができます.

<研究紹介>RC床版の輪荷重走行試験

 劣化した鉄筋コンクリート(RC)床版を補修するための薄層補修材の疲労耐久性を輪荷重載荷試験により確認しました.乾燥した状態では,選定した補修材はいずれも十分な疲労耐久性を有していましたが,その材料や施工法により,湿潤状態での疲労耐久性に違いが生じることが確認されました.

大型水平加熱炉

 ガスバーナーを熱源とし,幅:3m,長さ:8m,深さ:1.5mの加熱炉であり,実構造物レベルでの供試体を用いて加熱時および加熱冷却後の熱影響について確認することができます.この装置は,トンネル火災を想定したRABT曲線(5分,1200℃)や開空間を想定した外部火災曲線など幅広い加熱温度-時間曲線に対応しており,様々な条件下での加熱試験が行えます.また,1000kN移動式載荷装置も併設されており,加熱前後に載荷試験などが行えるようになっています.

<研究紹介>火災による熱履歴を受けた合成桁の力学特性に関する研究

 本研究は,熱履歴が鋼桁と床版との合成挙動に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,鋼・コンクリート合成桁橋を対象に,橋梁において頻度が高い規模の火災を想定し,340℃および680℃で加熱試験を実施し,その前後で静的載荷試験を行いました.その結果,340℃では鋼桁および床版に目立った熱影響は確認されませんでしたが,680℃では,床版やハンチ部にひび割れが発生し,剛性の低下が確認されました.

加熱炉付万能試験機

 熱源は電気で最高1200℃で加熱しながら材料の圧縮,引張試験を行うことが出来ます(万能試験機の容量:1000kN).

<研究紹介>高温時における鋼の力学特性

 本研究は,900℃以上における強度と温度の関係を把握することを目的として,SM400およびSM490Yを対象に鋼材の高温引張試験を行いました.その結果,常温時と比較すると,500℃以上で1%耐力,2%耐力ならびに引張強度は,温度が高くなるにつれて大きく低下することが確認できました.また,伸び量は800℃で最も大きいことが確認されました. 

暴露試験

 アルカリシリカ反応等の材料劣化を再現するために,実験場の敷地内に暴露スペースを設けており,暴露試験を実施することが可能です.

<研究紹介> ASR劣化によるPRC部材の経過観察

 アルカリシリカ反応による材料劣化を生じたコンクリートは膨張挙動を生じ,ひび割れが発生します.特に,外気温が高い夏場にアルカリシリカ反応が進展することから,気温の変化によるアルカリシリカ反応挙動を定期的に把握しました.

2000kN長柱試験機

 2000kNまでの圧縮力を作用させることができ,はり部材の曲げ試験,せん断試験が実施出来ます.クロスヘッドを支える支柱が高いことから,長柱試験と呼ばれており,クロスヘッドを上下方向に幅広く移動させることができます.このことより,様々な形状の載荷治具をセッティングし,載荷試験を実施することが出来ます.

<研究紹介> ASR損傷PRC梁の載荷試験

 ASR劣化を生じるPRCはり供試体と比較用の普通コンクリートPRCはり供試体を作製し,3年間の暴露試験の後にせん断試験を実施しました.さらに,3次元非線形有限要素解析を行い,ASR劣化が生じたPRCはり部材のせん断耐荷特性について,実験と解析の両面から比較検討を行いました.

大宮キャンパス 3号館実験室との連携
3000kN 圧縮試験装置

 3000kN圧縮試験装置は,コンクリートの圧縮試験などの各種材料試験や小型はり供試体の載荷試験を行うことが可能です.

<研究紹介> ASRコンクリートの強度特性

 アルカリシリカ反応を生じたコンクリートの圧縮強度,静弾性係数,引張強度,曲げ強度などの各種強度特性を把握しました.また,アルカリシリカ反応を生じたコンクリートに対して,有限要素解析に用いるコンクリートの応力―ひずみ関係等の材料モデルについて比較検討を行いました.

論文

「火災による高温履歴がプレテンションPC桁の残存耐荷特性に及ぼす影響」(2019)越野まやか『第28回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム論文集』28巻p.103-108.

「火災時における鋼コンクリート合成桁橋」(2020)髙橋佑介『構造工学論文集』Vol.66Ap.821-832.

「ASR劣化が生じたPRCはり部材のせん断耐荷特性」(2020)田中宏幸『コンクリート工学年次論文報告集』Vol.42

研究者INFO: 工学部 都市デザイン工学科 コンクリート構造学研究室,コンクリート工学研究室,橋梁工学研究室 井上 晋教授,大山 理教授,三方 康弘教授,今川 雄亮准教授 該当無し

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「カスケード災害」とは、ある事象が次々と他に影響を及ぼしていく連鎖現象を有する災害のことです。本研究ではカスケード災害を分析・評価するために、自然言語処理と機械学習を用いて新聞記事から災害事象の因果知識を抽出し、災害因果ネットワークを作成します。これをもとに被害を拡大・長期化させる脆弱性ポイントを見つけ出します。(東京大学廣井悠教授との共同研究)

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森内 隆代

軟質塩ビおよび可塑剤の新規物性評価法

プロトン核磁気横緩和時間T₂に着目したパルスNMR分光計測法は、1)成形・調整することなく使用できる非破壊検査法であり かつ 2)経時変化も含めて容易に観測できることや、3)どのような形状の複合材料でもそのまま測定可能というこれからの新しい物性評価法に望まれる資質を有している上、4)分子運動性に対応する成分の測定が可能という他の評価法に例を見ない非常に特徴的な物性評価法として期待されています。本研究では、昨今の世界的問題である塩ビ製品中の可塑剤の動的挙動を評価する汎用性の高い物性評価法としての展開を目指しています。

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長谷川 尊之

半導体構造におけるテラヘルツ領域光励起過渡現象

半導体表面にフェムト秒レーザーを照射すると、テラヘルツ領域において電子や原子の様々な光励起過渡現象が励起されます。光励起過渡現象はテラヘルツ領域電磁波(テラヘルツ波)放射や誘電率変調など多彩な応答をもたらすことから、光機能デバイスへの応用の観点から注目を集めています。本研究室では、結晶の表面状態に基づいた独自のアプローチから、光励起過渡現象のダイナミクスとテラヘルツ波放射特性を探究しています。

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東 良慶

流域治水の思想を踏まえた次世代型水害対策への挑戦

これまでの流域の開発は、過去の災害の実績にもとづき、計画規模を設定し,鋭意実施してきました。しかし近年、地球温暖化に伴う気象・水象イベントが極端化し、水災害が激甚化していると考えられています。このことから、上述の計画規模を超過する水害が頻発しており、現状の災害対策では対応できず、私たちが暮らす“まち”を守れない時代に突入しています。 これからの我が国は、水害の発生を許容できる粘り強い“まち”が求められます。本研究では水害特性を過去から読み解き、将来を高精度に予測し、その変化に適した“まちづくり”を考究し、提案します。

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