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研究テーマ
ライフサイエンス
学科の分類
工学部生命工学科

神経障害性疼痛のメカニズム解明と治療薬開発 -ノシスタチン由来ペプチド鎮痛薬, エーラス・ダンロス症候群の疼痛-

工学部

生命工学科

分子生体機能学研究室

芦高恵美子 教授

共同研究者

大阪医科大学 麻酔科学教室南 敏明
伊藤誠二
島根大学 総合科学研究支援センター松本 健一
ノシスタチンエーラス・ダンロス症候群ペプチド医薬品

神経障害性疼痛は、糖尿病、癌、脊髄損傷に伴い、末梢神経系や中枢神経系の損傷や機能障害によって引き起こされ、本来痛みと感じない「触る」などの刺激が痛みとなるアロディニア(異痛症)が見られる。非ステロイド性抗炎症薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬でも著効しない難治性の慢性疼痛で、第一選択薬には傾眠などの副作用が問題となっている。 これまでに、神経ペプチドのノシスタチンが、髄腔内投与によりアロディニアを抑制することを発見した。ノシスタチンに由来するペプチド誘導体を基軸に、副作用が少なく経口投与可能な鎮痛薬を開発している。 また、遺伝性結合組織疾患のエーラス・ダンロス症候群が神経障害性疼痛を発症するメカニズムを解明している。

1.神経ペプチド・ノシスタチンによる神経障害性疼痛の抑制

ノシスタチン(NST)は、オピオイドペプチドのノシセプチン/オーファンFQ(N/OFQ)と同じ前駆体に存在する神経ペプチドである(Fig.1A)。NSTを髄腔内投与すると、触刺激が痛みとなるアロディニアを抑制することを見出した(図1, Nature 392:286,1998; 特許1997, 2000)。NSTは脳室内や髄腔内投与により多彩な鎮痛効果をもつ (図2, Curr Pharm Des 21:868-84, 2015)。

ストレプトゾトシン(STZ)投与により糖尿病モデルマウスを作製した。STZ投与後、1-3週目に、von Frey試験による疼痛解析では、疼痛閾値が低下し、疼痛の発症が認められた。NSTに由来するペプチド誘導体 (NST-P) は、髄腔内投与と経口投与で疼痛を抑制した (図3)。

ペプチド鎮痛薬

  • ノシスタチン由来ペプチドによる鎮痛作用
  • 神経障害性疼痛の治療薬の開発・鎮痛活性ペプチド含有食品の探索に応用

2.エーラス・ダンロス症候群の慢性疼痛

エーラス・ダンロス症候群(EDS)は、5000人に1人見られる遺伝性結合組織疾患で、指定難病である。コラーゲン線維やネットワーク形成に関わる遺伝子変異が原因で、14病型に分類されている。皮膚の過伸展、関節過可動などがみられる。EDS患者の疼痛有病率は90%である。病初期は関節過可動、皮膚過伸展、軟部組織損傷の発生部位に限局された疼痛であるが、病気の進行により、局所性のものだけでなく、全身性の疼痛、神経障害性疼痛、筋痛、頭痛、胃腸痛などの慢性疼痛が見られる。「局所性の疼痛がなぜ全身性の慢性疼痛を誘導するのか?」についてのメカニズムは不明である。

テネイシンX (TNX) 遺伝子が原因である類古典型EDSの患者では、慢性の関節痛・筋痛やニューロパチーなどが認められる(図4)。TNXは細胞外マトリックスタンパク質で、コラーゲンと結合する。TNX遺伝子(Tnxb)欠損マウスによるEDSの疼痛モデルを世界に先駆けて確立し、有髄神経の応答過敏を介して神経障害性疼痛を誘発することを見出した(Sci Rep 10:6569, 2020; Front Genet 14:1107787, 2023; Sci Rep 13:18490, 2023)。

エーラス・ダンロス症候群の疼痛モデル

  • エーラス・ダンロス症候群の慢性疼痛発症メカニズム解明と治療方法確立へ展開

論文

「Tenascin-X as a causal gene for classical-like Ehlers-Danlos syndrome」(2023)Okuda-AshitakaEmiko et al.『Frontiers in Genetics』10p.3359.

「Nocistain : milestone of one decade of research」(2015)Okuda-AshitakaEmiko et al.『Current Pharmaceutical Design』21p.868-884.

「Nocistatin, a peptide that blocks nociceptin action in pain transmission」(1998)Okuda-AshitakaEmiko et al.『Nature』392p.286-289.

研究者INFO: 工学部 生命工学科 分子生体機能学研究室 芦高恵美子 教授

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SDGs
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